「こども労働法」の本ができました
「こども労働法 未来の自分を守るために知っておきたいワークルール」を出版しました。
小学生が読んでわかる労働法の本を作りたいと出版社から声がかかり,労働事件でとても活躍している笠置裕亮弁護士にも著者に加わっていただきました。
私はいままで中学生・高校生対象の文章は多く書いてきましたが,小学生向けは初めてで,小学生にも伝わるように内容と表現をかなり議論し,修正を続けて,ようやく完成しました。
小学生向けとうたっていますが,中学生・高校生・大学生にも,そして現に今働いている大人たちにも,ぜひ手に取ってほしいと思っています。
一人でも多くの子どもたちにメッセージが届きますように。
「こども労働法 未来の自分を守るために知っておきたいワークルール」
山下 敏雅, 笠置 裕亮 著
日本法令,1540円
https://www.amazon.co.jp/o/ASIN/453972908X/pgbl-22


------------------------------------------------
◆未来の自分を守るために知っておきたいワークルール
これからの時代を担うこども達に向け、やさしい日本語とイラストを使って、「働き方にまつわる法律」を解説。
身近な大人の働き方を見て疑問を抱いた児童、「早くからこども達に法律を学ばせたい」という保護者、ワークルール教育の充実化を願う教育者は必読の1冊。
身近な大人たちが働くなかで遭遇する、さまざまな「?」に弁護士が法的視点から回答していく。
目次
第1章 「働く」とは
Q1 働くってどういうこと?
コラム1 働くことは義務か、権利か
Q2 働けないときはどうなる?
第2章 「働くこと」に関する法律
Q3 働くときのルールって?
Q4 もらえるお金の額はなにで決まる?
Q5 給料を払うときのルールって?
コラム2 給料を親に取られてしまう
第3章 さまざまな働き方
Q6 子どもでも働ける?
Q7 YouTuberの働き方って?
Q8 正社員ってなに?
コラム3 みんなで進める働き方改革
第4章 「働くこと」を支える制度
Q9 病気になってしまった!
Q10 赤ちゃんが生まれる!
Q11 仕事を辞めることになった!
Q12 仕事中にケガをしてしまった!
Q13 定年退職ってなに?
第5章 働く権利とルール
Q14 働く場所を探すには?
Q15 女性が働き続けるのは大変?
Q16 障害があると働けない?
Q17 LGBTでも楽しく働ける?
Q18 たまには仕事を休みたい!
コラム4 働きすぎで起こる過労死
Q19 転勤って断れない?
Q20 会社からの罰って?
第6章 働くうえでのトラブル
Q21 セクハラ、パワハラってなに?
Q22 突然「クビだ」といわれた!
Q23 辞めたいときに辞められる?
Q24 サービス残業ってなに?
コラム5 法律を守らないブラック企業
Q25 ミスをしたら罰金を払わないとダメ?
第7章 困ったときは…
Q26 ルールが守られないときは?
Q27 労働組合ってなに?
Q28 弁護士ってどんな仕事?
著者プロフィール
■山下 敏雅
弁護士(永野・山下・平本法律事務所)。
1978年高知県南国市生まれ、千葉市育ち。2003年東京弁護士会に弁護士登録。
過労死・過労自死事件、労災事件、子どもの事件(児童虐待、少年非行、未成年後見等)、脱北者支援、セクシュアルマイノリティ支援、HIV陽性者支援などに取り組んでいる。
2013年よりブログ「どうなってるんだろう?子どもの法律」(http://ymlaw.txt-nifty.com)を更新中。
趣味は音楽と旅と筋トレ。
■笠置 裕亮
弁護士(横浜法律事務所)。
1986年埼玉県所沢市生まれ。さいたま市(旧大宮市)育ち。
2012年神奈川県弁護士会に弁護士登録。
解雇・残業代請求事件、過労死・過労自死事件、労災事件などの労働事件を専門的に扱いつつ、子どもや社会人に対して、労働トラブルに巻き込まれた場合にどのように対処すればよいかについての啓発活動に日々取り組んでいる。
趣味は子どもと遊ぶこと。
------------------------------------------------
はじめに
皆さんの将来の夢は,何でしょうか?
世界一周,幸せな家庭を作る……どれもとても素敵な答えですね。でも,小学生の皆さんから一番多く返ってくる答えは,「大人になったときにしたい仕事」ではないでしょうか。
まだ働いたことのない皆さんが,”夢”と聞かれてすぐに仕事を思い浮かべるのは,仕事が人生でとてもだいじなことだと,周りの大人たちを見て感じているからだと思います。
仕事は,一人ひとりの人生を充実したものにしてくれます。そして,私たちの社会も明るく豊かなものにしてくれます。
でも,皆さんの周りには,仕事で疲れたり,つらい思いをしたりしている大人もいるのではないかと思います。
仕事は,趣味やボランティアとは違って,生きていくのに必要なお金をかせぐためのものです。楽しいもの,うれしいこと,おいしいもの,ラクなこと。そういったことは,お金を払って手に入れます。逆に,お金が手に入るのは,つらくて,大変で,しんどいことだから,ともいえます。
仕事がとても大切で,つらいことでもあるからこそ,一人ひとりが安心して働けるように,”法律”という国のルールがあります。この本では,そうした働くときのルールを,小学生の皆さんに向けてわかりやすく説明しています。
法律をはじめとして,学校や家の中の決まりごとなど,社会にはさまざまなルールがあります。そういうルールは,「自分よりも上の立場の人たちが勝手に決めて,自分たちをしばってくるもの,やぶったら罰があるもの」だと考えている人も,多くいるのではないでしょうか。
でも,ルールは本来,一人ひとりを大切に守るためにあるものです。そして,ルールはみんなで作るものであって,おかしいルールにはおかしいと声を上げて,よりよく変えていくべきものです。
どんな人も,一人ひとりが大切な存在として扱われ,尊重されること。誰かの物や人形,ロボットや奴隷のように扱われるのではなく,大切な人間として扱われること。そして,毎日の暮らしを安心して過ごし,幸せな人生を送れること。それらを,法律の世界では”人権”という言葉で表します。
人は,誰かに雇われて働くとき,雇う側の会社や職場よりも弱い立場にあります。だからこそ法律は,いろんなルールで働く人の人権を大切に守っています。
皆さんがやがて大人になり,誰かに雇われて働き始めるとき。さらに遠い将来,上司になって部下を持つとき。会社を作って誰かを雇う立場になるとき。どんなときにでも,働くルールをきちんと知っておく必要があります。
法律がどうやって働く人たちを守っているのか。それをこれから一緒に,この本で見ていきましょう。


