親の宗教で苦しい思いをしている
私の母親は,ある宗教の熱心な信者です。私は小さい頃からお祈りや集会に連れて行かれていました。学校行事で参加できないものがあったり,友だちと遊べなかったりしましたが,小学校の頃までは,親や宗教の人の言うとおりにしていました。でも,次第にそういうことがしんどくなってきました。集会や活動で勉強の時間を取れなくなったり,好きな人との恋愛まで禁じられたりするのもつらくて,宗教の教えそのものに疑問を感じるようになりました。宗教と距離を置きたいと思っていますが,親に逆らうのは怖いし,親を悲しませたくない思いもあって,どうすればいいのかわかりません。
その宗教と距離を置きたいというあなたの気持ちは,まったく自然なものです。
今のあなたと宗教との関係をどうしていくか,
今の親との関係をどうしていくか,
これからのあなたの人生をあなた自身がどう歩んでいくか,
一人で抱え込まず,みんなで一緒に考えていきましょう。
2022(令和4)年7月,元首相(元総理大臣)が街頭演説中に銃で撃たれて亡くなるという事件が起きました。
その事件の犯人は,親がある宗教を熱心に信じていて,そのために家族がとても苦しい生活・人生を送っていたと報じられました。
殺害された元首相は,その宗教の行事にビデオメッセージを送っていました。
事件が起きた3か月後の10月,国(厚生労働省)は,「宗教が背景にあっても,児童虐待(ぎゃくたい)にきちんと対応する」という通知を出しました【★1】。
さらに2ヶ月後の12月には,どんなことが虐待に当たるかを具体的に示したガイドラインを公表しました【★2】。
国のガイドラインでは,例えば次のようなことが,宗教が理由であっても虐待に当たる可能性がある,としています。
宗教の行事で真面目に話を聞いていなかったなどという理由で,叩(たた)いたり,ムチで打ったりすること【★3】。
「地獄に落ちる」「罰が当たる」などと言ったり動画を見せたりして,恐怖をあおったり脅(おど)したりすること【★4】。
宗教活動を優先して,きちんと子育てをしないこと【★5】。
宗教に多額の寄付をして,子どもに十分な食事や服を与えないこと【★6】【★7】。
子どものアルバイト代や奨学金を取り上げて,宗教に寄付すること【★8】【★9】。
病院に行かせなかったり,必要な治療をさせなかったりすること【★10】【★11】。
学校行事の参加を制限すること【★12】。
高校・大学への進学や就職を制限すること【★13】。
子どもの友だちを「敵」「サタン」などと呼んだり,友だち付き合いを制限したりすること【★14】。
アニメやマンガやゲームを一切禁止して,宗教が認めたものしか許さないこと【★15】。
性経験を宗教関係者に話すよう強制すること【★16】。
参加したい学校行事に,宗教が理由で参加できなかったり,
勉強したいのに,宗教活動のために勉強の時間がなかったりするのは,
あなたの学ぶ権利が傷つけられている状態です【★17】。
友だちと遊びたいのに,宗教が理由で許されないのは,
あなたの育つ権利や遊ぶ権利が傷つけられている状態です【★18】。
好きな人との恋愛を禁じられていることも含めて,
あなたの生活と人生が,疑問に感じている宗教から縛(しば)られているのは,
あなたの幸せに生きる権利が傷つけられている状態です【★19】。
あなたのケースは,国のガイドラインに照らして,虐待に当たる可能性が高いです。
私たちの社会は,そのようなあなたの力になりたいと思っています。
どんな人にも,宗教を信じる・信じないの自由があります【★20】。
それは,子どもも同じです。
世界の約束である子どもの権利条約も,
子どもに宗教の自由があることをはっきりと認めています【★21】。
どの宗教を信じるか/信じないかは,
親が決めることではなく,子ども自身が決めることです。
以前,私はこのブログで,「『そのサークルは宗教だからダメ』と親が言ってくる」という記事を書きました。
その記事に書いたように,親は,悪質な宗教から子どもを守る立場にあります。
子どもの権利条約は,
「子どもにも宗教を信じる自由がある」としながらも,
「年齢や判断する力に応じて,親が子どもを見守ろう」と言っています。
もう少し正確に紹介すると,
親には,子どもの「発達しつつある能力」に合うかたちで「指示を与える権利と義務」がある,という条文です【★22】。
親が自分の信仰に基(もと)づいて子どもを育てることは尊重されますが【★23】,
この条文は,親が自分の宗教を子どもに無理やり信じさせたり,強制したりすることまで認めるものではありません。
条約が親に認めているのは,
子どもに「指示を与える」権利と義務であって,
子どもに「親の宗教を信じさせる」権利ではありません。
たとえ幼い子どもであっても,
親の宗教を無理やり信じさせるのではなく,
子どもが自分の「宗教を信じる自由/信じない自由」をしっかり身につけられるように,
親がきちんと意識して,子どもと接しなければなりません【★24】。
そして,
子どもが成長するにつれて,自分で判断する力がついてくれば,
親は,子ども自身の信じる/信じない自由を,よりいっそう尊重しなければならないのです【★25】。
虐待に当たるケースはもちろんのこと,
そこまで明確に虐待とは言えないケースであっても,
宗教を信じる/信じないは,子ども自身が決めることです。
子どもは,親の付属物ではありません。
子どもも,一人の独立した人間です。
親が子どもに自分の宗教を強制することはできません。
「親は親,あなたはあなた。あなたは好きなように生きていい」,
そう言われても,簡単には割り切れない人のほうが多いと思います。
「宗教から離れたら,親は自分を愛してくれなくなるかもしれない」,
「宗教から離れたら,天罰が下るかもしれない」,
いろんな不安があると思います【★26】。
宗教から離れられるようになったあとも,
子どもの頃に教えられてきた宗教がずっと影響して,
不安定な気持ちになったり,生活が難しかったり,ひとりぼっちに感じたりする人もいます【★27】。
今,さまざまな宗教の2世の当事者の人たちが,声を上げています【★28】【★29】。
菊池真理子さんがその声を描いた漫画の最後にある,
「神や仏に愛されるよりも 私たち 親に愛されたかった」という言葉は【★30】,
きっと,あなたの言葉でもあると思います。
私たちの社会は,親の宗教で苦しんでいる子どもたちの力になりたいと,強く思っています。
あなたはひとりぼっちではありません。
ぜひ,あなたの話と気持ちを受け止めてくれる,あなたが信頼できる身近な大人に相談してください。
学校や児童相談所やいろんな役所の大人,そして私たち弁護士も,あなたの力になります。
一人で抱え込まず,みんなで一緒に考えていきましょう。
【★1】 2022(令和4)年10月6日厚生労働省子ども家庭局長「市町村及び児童相談所における虐待相談対応について」(子発1006第3号)
「1.基本的考え方
児童虐待防止法第2条各号に該当(がいとう)する行為(こうい)を保護者が行った場合には,宗教の信仰等保護者の意図にかかわらず児童虐待に該当しうるものであること。
2.具体例
児童虐待の定義の具体的内容については,子ども虐待対応の手引き第1章の1(2)子ども虐待の定義においてお示ししているところであるが,保護者の宗教の信仰といったことを理由とするものであっても,例えば,
①身体的暴行を加える
②適切な食事を与えない
③重大な病気になっても適切に医療を受けさせない
④言葉による脅迫,子どもの心・自尊心を傷つけるような言動を繰り返し行う
といったことは,児童虐待に該当しうるものであること。
3.その他
個別の事例に関して,児童虐待であるかどうかの判断は,子どもの状況,保護者の状況,生活環境等に照らし,総合的に判断されたいこと。また,その際には,保護者の信仰に関連することのみをもって消極的な対応を取らず,また,子どもの側に立って判断すべきであること。」
【★2】 2022(令和4)年12月27日厚生労働省子ども家庭局長「『宗教の信仰等に関係する児童虐待等への対応に関するQ&A』について」
【★3】 ガイドライン(【★2】)「問2-2 教義に関する講義などの宗教的行事に参加している中で,まじめに話を聞いていなかった,居眠りをしていたなどの理由により,保護者が児童を平手で叩く,鞭(むち)で打つといったことは,児童虐待に当たるか。」「(答)理由の如何(いかん)にかかわらず,児童を叩く,鞭で打つなど暴行を加えることは身体的虐待に該当(がいとう)する。」
【★4】 ガイドライン(【★2】)「問3-1 宗教活動や布教活動への参加強制や人生選択の強制,激しい言葉での叱責(しっせき)や霊感的な言葉を用いての脅(おど)し等により幼少期からの継続的な恐怖の刷(す)り込み等は児童虐待に当たるか。また,児童を宗教活動等に参加させることを目的として,あるいは,児童が参加に消極的(しょうきょくてき)であるといったことを原因・きっかけとして,無視する行為(こうい),常(つね)に拒絶的(きょぜつてき)・差別的な態度をとることについてはどうか。」「(答)『~をしなければ/すれば地獄に落ちる』,『滅(ほろ)ぼされる』などの言葉や恐怖をあおる映像・資料を用いて児童を脅すこと,恐怖の刷り込みを行うこと,児童を無視する・嫌がらせをする等拒否的な態度を継続的に示すことで,宗教活動等への参加を強制することや進路や就労先等に関する児童本人の自由な決定を阻害(そがい)すること(保護者の同意が必要な書類への署名や緊急連絡先の記入の拒否等を含む。)は,いずれも心理的虐待又はネグレクトに該当する。」
【★5】 ガイドライン(【★2】)「問4-7 児童の養育を著(いちじる)しく怠(おこた)る場合にはネグレクトに該当(がいとう)するものであるが,背景として奉仕活動や宣教(せんきょう)活動といった宗教等に関する活動(修練会,セミナー,聖地巡礼等)がある場合には,児童虐待に当たるか。」「(答)奉仕活動や宣教活動といった宗教等に関する活動(修練会,セミナー,聖地巡礼等)への参加などにより,児童の養育を著しく怠る行為は,背景に宗教団体等による勧誘等がある場合であってもネグレクトに該当する。」
【★6】 ガイドライン(【★2】)「問4-2 宗教等の信仰活動等を通じた金銭の使い込み(寄附,寄(きしん)等の呼称(こしょう)の如何(いかん)を問わない。)により家庭生活に大きな支障(ししょう)が生じ,養育環境の観点から適切な住環境,衣類,食事等が提供(ていきょう))されていない場合や,児童の小学・中学・高校・大学への登校や進学等の教育機会の提供に支障が生じているような場合については,児童虐待に当たるか。」「(答)宗教等の信仰活動等を通じた金銭の使い込みの結果家庭生活に支障が生じる場合も含め,児童に対し,養育環境の観点から適切な住環境,衣類,食事等を提供しない行為(こうい))はネグレクトに該当(がいとう)する。同様の行為により,義務教育である小学校・中学校への就学,登校,進学を困難とさせることもネグレクトに該当する。高等学校への就学・進学に関しても,児童本人が就学・進学を希望しており,合理的な理由なく信仰する宗教等の教義を理由として就学・進学を認めない行為は,児童の自立を損(そこ)ねその心情を傷つける行為としてネグレクト又は心理的虐待に該当する。大学への就学・進学に関しては,問4―3(答)のとおりである。(以下略)」
【★7】 この記事の最初に書いた殺人事件が起きたあと,「法人等による寄附の不当な勧誘の防止等に関する法律」ができました。この法律で,親の寄付を子どもが取り消して取り戻すことができることにはなりましたが(債権者代位権の行使による扶養請求権の確保。同法10条),未成年の子どもがこのしくみを使うにはハードルがたくさんあるため,使いやすいようにすべきだと弁護士会が意見を出しています(2023(令和5)年12月14日日本弁護士連合会「宗教等二世の被害の防止と支援の在り方に関する意見書」15頁)
【★8】 ガイドライン(【★2】)「問4-4 児童がアルバイト等により得た収入について,児童の意思(いし)に反(はん)する形で,保護者が宗教等の信仰活動等に消費(寄附,寄進(きしん)等の呼称(こしょう)の如何(いかん)を問わない。)した場合については,児童虐待に当たるか。また,どのような支援が考えられるか。」「(答)児童の財産管理権を有(ゆう)することに乗(じょう)じ,児童のアルバイト等により得た収入(高等学校や大学等への就学,進学に関し,児童に対して貸与(たいよ)もしくは支給された奨学金等を含む。)を取り上げ,児童本人の意思に反し,客観的に見て明らかに児童の現在の生活や将来につながらない目的に消費する行為は,児童からの信頼を裏切ることなどにより児童の心情を著しく傷つける行為として心理的虐待に該当(がいとう)する。児童がアルバイト等により得た収入は,児童の財産であるから,児童の意思に反する形で,これを児童の現在の生活や将来につながらない目的の下で保護者が消費したような場合には,保護者の児童に対する不法行為が成立し得(う)る。また,保護者が宗教団体に唆(そそのか)されて児童の財産を無断で寄附したような場合には,宗教団体の児童に対する不法行為が成立するものとして,児童が宗教団体に対して直接損害賠償を請求し得る。さらに,児童相談所長が管理権喪失の審判の申立…を行い,管理権喪失の審判を得た上で未成年後見人選任の申立…を行い,未成年後見人が,児童の法定代理人として保護者に対して扶養(ふよう)請求をして扶養義務に係(かか)る債権(さいけん)を確定した上で,法人等による寄附の不当な勧誘の防止等に関する法律第8条の規定に基づく取消権等を行使(こうし)することも考えられる。」
【★9】 児童虐待防止法は児童虐待として①身体的虐待,②性的虐待,③ネグレクト,④心理的虐待の4つを上げていますが(同法2条),この4つに加えて高齢者虐待防止法や障害者虐待防止法が虐待としている⑤経済的虐待が,今の児童虐待防止法では児童虐待に含まれていません。児童虐待防止法にいう児童虐待に,この経済的虐待も含める改正が必要です(2023(令和5)年12月14日日本弁護士連合会「宗教等二世の被害の防止と支援の在り方に関する意見書」13頁,紀藤正樹「宗教2世問題の解決への課題-法律家から見た視点」塚田穂高他「だから知ってほしい『宗教2世』問題」161頁)
【★10】 ガイドライン(【★2】)「問4-5 信仰する宗教の教え・決まり等を理由として,児童に対する治療として必要となる行為(こうい)(輸血等)を行わないといった行為は児童虐待に当たるか。」「(答)理由の如何(いかん)に関わらず,医療機関の受診を合理的な理由無く認めない行為や,医師が必要と判断する医療行為(手術,投薬,輸血等)を受けさせないこと(輸血を拒否する旨の意思表示カード等を携帯することを強制することを含む。)はネグレクトに該当する。必要に応じて,一時保護による緊急対応や児童相談所長による親権停止申立…を検討すること。」
【★11】 「宗教的輸血拒否に関するガイドライン」(2008(平成20)年2月28日)は,親が宗教的理由で子どもへの輸血に反対している場合でも,子どもが15歳以上で医療についての判断能力があれば子ども自身の同意で輸血するとしています。また,子どもが15歳未満または医療についての判断能力がない場合は,児童相談所に虐待通告をして対応するとしています。
【★12】 ガイドライン(【★2】)「問4-6 信仰する宗教の教え・決まり等を理由として,児童が様々な学校行事等に参加することを制限するような行為(こうい)については児童虐待に当たるか。」「(答)児童本人が学校行事等に参加することを希望しているにもかかわらず,児童に対する適切な養育の確保や教育機会の確保等を考慮せず参加を制限する行為は,宗教の信仰(しんこう)等を理由とするものであっても,心理的虐待又はネグレクトに該当する。」
【★13】 ガイドライン(【★2】)「問4-3 宗教の信仰等を背景として児童が高校や大学等に進学することを認めないような事例について児童虐待に当たるか。」「(答)高等学校への就学,進学については問4―2(答)に記載するものと同様である。また,大学に進学することを認めない行為(こうい)(保護者の同意が必要な書類への署名や緊急連絡先の記入等の手続の拒否のほか,学費等の必要経費に充(あ)てる金銭を得るためのアルバイトを認めないことを含む。)について,それ自体が直(ただ)ちに児童虐待に該当(がいとう)するものではないが,児童本人が進学を希望し,世帯の経済的状況等に鑑みて進学が可能である(奨学金等の支援を活用する場合も含む。)にもかかわらず,宗教上の教義等を理由とし,
・ 『~をしなければ/すれば地獄に落ちる』など児童を脅(おど)すこと
・ 『世界は破滅するので,学校に行くことは無駄である』など諦(あきら)めさせようとすること
・ 児童を無視する,経済的な援助を拒(こば)む等拒否的(きょひてき)な態度を継続的に示すこと
により進学を禁止するような行為は心理的虐待に該当する。」
「問4-8 児童の進学や就職のタイミングの際(さい)に,宗教の教義等を理由として,児童本人の希望や選択を顧(かえり)みることなく宗教上の教義等の理由により,進路を強制することは児童虐待に当たるか。」「(答)宗教上の教義等を理由とし,『~をしなければ/すれば地獄に落ちる』などの言葉を用いて児童を脅したり,児童を無視する等拒否的な態度を継続的に示したりすること,保護者の同意が必要な書類への署名や緊急連絡先の記入の拒否等により,児童の進学や就職を実質的に制限するような行為は心理的虐待に該当する。」
【★14】 ガイドライン(【★2】)「問3-2 児童に対し,特定の宗教を信仰しない者との交友や結婚を一律(いちりつ)に制限するような行為(こうい)(誕生日会等の一般的な行事への参加を一律に制限する行為を含(ふく)む。)は児童虐待に当たるか。また,日常生活上常時,そうした者を批判(ひはん)する言動を児童に対して繰(く)り返す行為はどうか。」「(答)児童に対し,その年齢や発達の程度からみて,社会通念上一般的であると認められる交友を一律に制限し,児童の社会性を損(そこ)なうような場合には,ネグレクトに該当(がいとう)する。また,交友や結婚を制限するための手段として,問3-1(答)に記載する脅迫や拒否的(きょひてき)な態度を継続的に示すことや,児童の友人や教師など児童と交友関係を持つ者を『敵』,『サタン』その他これらに類(るい)する名を称(しょう)すること等により,児童に対して強い恐怖心を与えることは心理的虐待に該当する。」
【★15】 ガイドライン(【★2】)「問3-3 宗教の教義等を理由とし,児童に対し,童話やアニメ,漫画,ゲームといった娯楽(ごらく)を一切禁止することは児童虐待に当たるか。宗教団体等が認めたもののみに限定するといった行為(こうい)はどうか。」「(答)児童の監護教育に資(し)するため娯楽等を禁止する行為については直ちに児童虐待に当たるものではないが,社会通念に照らして児童の年齢相応だと認められる娯楽等について,宗教等を理由に一律に禁止することは心理的虐待に該当する。また,宗教団体等が認めたもののみに限定する行為についても,それが教育上の配慮等に基づく合理的な制限と認められるものでなければ,宗教の信仰等を理由とするものであっても,児童の自由意思を損ねる行為として心理的虐待に該当する。」
【★16】 ガイドライン(【★2】)「問5-2 宗教活動の一環と称し,宗教団体の職員その他の関係者に対して児童本人の性に関する経験等を話すことを児童に強制する行為(こうい)は児童虐待に該当するか。」「(答)児童に対して自身の性に関する経験を他者に開示することを強制する行為は性的虐待に該当する。また,保護者が直接的にこうした行為をせずとも,そうした行為を児童に対して行わせる場と知りながらそれを防止するための特段の手立てを取らないことは性的虐待又はネグレクトに該当する。」
【★17】 憲法26条1項「すべて国民は,法律の定めるところにより,その能力に応じて,ひとしく教育を受ける権利を有する。」
児童の権利に関する条約(子どもの権利条約)28条1項「締約国(ていやくこく)は,教育についての児童の権利を認める…(略)」
【★18】児童の権利に関する条約6条2項「締約国は,児童の生存及び発達を可能な最大限の範囲において確保する。」
同条約31条1項「締約国は,休息及び余暇(よか)についての児童の権利並びに児童がその年齢に適した遊び及びレクリエーションの活動を行い並びに文化的な生活及び芸術に自由に参加する権利を認める。」
【★19】 憲法13条「すべて国民は,個人として尊重(そんちょう)される。生命,自由及び幸福追求に対する国民の権利については,公共の福祉に反しない限り,立法その他の国政の上で,最大の尊重を必要とする。」
【★20】 憲法20条1項 「信教の自由は,何人(なんぴと)に対してもこれを保障する。…」
【★21】 児童の権利に関する条約14条1項「締約国は,思想,良心及び宗教の自由についての児童の権利を尊重する」
【★22】 児童の権利に関する条約14条2項「締約国は,児童が1の権利を行使するに当たり,父母及び場合により法定保護者が児童に対しその発達しつつある能力に適合する方法で指示を与える権利及び義務を尊重する。」
【★23】 2023(令和5)年12月14日日本弁護士連合会「宗教等二世の被害の防止と支援の在り方に関する意見書」4頁
【★24】 児童の権利に関する条約5条「締約国は,児童がこの条約において認められる権利を行使するに当たり,父母若しくは場合により地方の慣習により定められている大家族若しくは共同体の構成員,法定保護者又は児童について法的に責任を有する他の者がその児童の発達しつつある能力に適合する方法で適当な指示及び指導を与える責任,権利及び義務を尊重する。」
国連子どもの権利委員会・一般的意見7号(2005年)「乳幼児期における子どもの権利の実施」パラグラフ17「親(および他の者)は,子ども中心の方法で,対話することおよび模範を示すことを通じ,参加権(第12条)ならびに思想,良心および宗教の自由に対する権利(第14条)を含む自己の権利を行使する乳幼児の能力を増進させるようなやり方で『指示および指導』を与えるよう,奨励されるべきである。」
【★25】 国連子どもの権利委員会・一般的意見20号「思春期における子どもの権利の実施」パラグラフ43「委員会は,締約国に対し,条約第14条に付したいかなる留保も撤回するよう促す。同条は,子どもには宗教の自由に対する権利があることを強調するとともに,子どもに対し,その発達しつつある能力と一致する方法で指示を与える親および保護者の権利および義務を認めたもの(第5条も参照)である。すなわち,宗教の自由に対する権利を行使するのは親ではなく子どもであって,親の役割は,子どもが選択権の行使に関して思春期全体を通じてますます主体的な役割を果たしていくようになるにつれて,必然的に後退する。(以下略)」
【★26】 菊池真理子「『神様』のいる家で育ちました~宗教2世な私たち~」6頁
【★27】 2023(令和5)年12月14日日本弁護士連合会「宗教等二世の被害の防止と支援の在り方に関する意見書」20頁
【★28】 菊池真理子「『神様』のいる家で育ちました~宗教2世な私たち~」,塚田穂高他「だから知ってほしい『宗教2世』問題」,横道誠「みんなの宗教2世問題」など
【★29】 2025(令和7)年7月24日に宗教2世の8人が,同年12月18日に宗教2世の9人が,教団を相手に,教団の教えで人生を自由に選べなかったことや将来をあきらめなければならなかったことについて違法性を問う裁判を起こしました。裁判の相手方の教団は,この記事の最初に書いた,殺害された元首相がビデオメッセージを送っていた宗教です。
【★30】 菊池真理子「『神様』のいる家で育ちました~宗教2世な私たち~」134頁














