7_国籍・在留資格のこと

2016年11月 1日 (火)

今の二重国籍のまま大人になったら?

 

 父親がフランス人,母親が日本人の高校生です。物心がついたときから日本で暮らしていて,将来は,日本を生活のベースにしながら,フランスとの架(か)け橋になれるような仕事をしたいと思っています。私は,フランスと日本の両方の国籍を持っていて,大人になったらどちらか1つを選ばないといけない,と親から聞いています。どうして国籍を1つにしないといけないんですか。もし国籍を2つ持ったまま大人になったら,どうなりますか。

 


 国籍は,「この国のメンバーだ」という資格のことです
【★1】


 日本国籍については,国籍法という法律がルールを決めています【★2】


 日本国籍になるのは,お父さんかお母さんが日本国籍であることが,基本的な条件です【★3】



 じつは,今から30年余り前の1984年(昭和59年)までは,お父さんが日本国籍でなければ,子どもは日本国籍になれませんでした。

 お母さんが日本国籍だというだけでは,子どもは日本国籍になれなかったのです。

 でも,それは男性と女性を平等にあつかわない,おかしなことでした。

 国籍法が変わって,1985年(昭和60年)からは,お父さんかお母さんのどちらかが日本国籍なら,その子どもは日本国籍になれるようになりました
【★4】



 どういう条件で子どもに国籍を認めるかは,国によってちがいます。

 日本やフランスのように,両親のどちらかが国籍を持っていればOKという国もあれば
【★5】

 むかしの日本のように,父親が国籍を持っていることで認める国
【★6】

 アメリカのように,国内で生まれればOKという国もあります
【★7】【★8】



 あなたの場合,お父さんがフランス国籍,お母さんが日本国籍なので,

 子どものあなたは,フランスと日本の2つの国籍を持っているのですね
【★9】

 (もし,あなたがアメリカで生まれていたなら,フランスと日本とアメリカの3つの国籍を持つことになります。)




 日本の国籍法は,こう言っています
【★10】

 「子どもの時から日本の国籍と外国の国籍を持っている人は,22歳になる前に,国籍をどれか1つに選ばないといけない」。




 もし,あなたがフランス国籍を選ぶなら,

 日本国籍をやめる手続を,日本の役所でとります
【★11】【★12】


 もし,あなたが日本国籍を選ぶなら,次の2つの方法のどちらかをとります。

 1つめは,フランス国籍をやめる手続を,フランスの役所でとる方法。

 2つめは,「日本国籍を選びます。フランス国籍をやめます」と,日本の役所で宣言する方法です
【★13】


 どうして2つめの宣言の方法があるかというと,

 外国の国籍をやめられるかどうかは,その国が決めることなので,

 1つめの方法が必ずとれるとはかぎらないし,

 日本からその国に口出しはできないからです。



 そして,2つめの方法で,「フランス国籍をやめます」と日本に向かって宣言しても,

 それで自動的にフランス国籍がなくなるわけではありません。

 外国の国籍をやめられるかどうかは,その国が決めることだからです
【★14】


 その宣言をしたあと,その人が本当に外国の国籍をやめたかどうかまで,日本にはわかりません。

 
両方の国籍を持ち続けることは,日本の国籍法のしくみからすると,じゅうぶんありうることです【★15~17】

 
なので,その宣言をした後も,両方の国籍を持ったままの人は,たくさんいます。


 なお,22歳までに日本国籍を選ぶための方法をまったくとらないままでいると(つまり,1つめ・2つめのどちらの方法もとらないでいると),

 日本から「国籍を選択するように」という連絡が来て,

 そこから1か月以内に何もしないでいたら,日本国籍を失う,と,法律には書かれています
【★18】

 もっとも,実際には,そのルールで日本国籍を失った人はいません
【★19】【★20】



 この,「22歳になる前に,国籍をどれか1つに選ばないといけない」という日本のルールは,1985年(昭和60年)に始まりました。

 上に書いたように,この年から,お父さんかお母さんのどちらかが日本国籍であれば,子どもが日本国籍を持てるようになりました。

 そのため,国籍を2つ持つ子どもが,たくさん増えることになります。

 だから,日本は,22歳までに国籍を1つに選ばせる制度を,このときいっしょに作ったのです。




 でも,そもそもどうして,国籍を1つにしないといけないのでしょうか。




 国籍がいくつもあったら,その人にどこの国の法律をあてはめるのか混乱する,とか,

 別の国でトラブルが起きたときに,どこの国がその人を守ることになるのかわからない,とか,

 投票できる国がふたつ以上あるのはおかしいし不公平だ,とか,

 いろんな理由が言われます。



 でも,そのひとつひとつを法律的によく見ていくと,

 どれも,国籍を1つにしないといけない理由には,なっていないのです
【★21】


 実際,国籍を2つ以上持っている人は,世界中にたくさんいますし,

 この日本にも68万人もいるのですが
【★22】

 それで特に大きなトラブルは起きていません
【★23】


 「国籍は1人1つにするべき。二重国籍はなくしていこう」。

 今から80年以上も前に,世界がそう確認し合っていたこともありました
【★24】

 でも,今は,国をまたいで行き来する人々が多くなり,国際結婚がとても増えています。

 ヨーロッパは,1997年,「国籍が2つ以上あってもOK」と確認し合いました
【★25】

 それ以外の国々でも,二重国籍をOKにするところが増えています。




 自分がどの国のメンバーなのか。

 それは,「自分が一体どんな人間なのか」という,自分をかたちづくるうえで,とてもだいじなことです。

 お父さんから受け継いだ国籍も,お母さんから受け継いだ国籍も,どちらも大切なもの。

 それなのに,どちらか1つを選び,もう1つを捨てなければならないのは,おかしなことです
【★26】

 2つの国のメンバーをかけもちしたところで,特に問題は起きませんし,

 むしろ,あなたのように,「日本と外国の架け橋になる仕事をしたい」という夢を持っている人たちが活躍できることは,

 その人自身にとっても,私たちの社会にとっても,素晴らしいこと,必要なことです。




 「国籍は1人1つ」というたてまえの,今の日本の国籍法は,

 すでに現実に合わなくなっています。

 あなたが22歳を迎えるときまでには,

 今の国籍法を,いろんなルーツを持つ一人ひとりを大切にした,今の社会に合ったものに変えていく必要がある,

 私はそう思っています。

 

【★1】 「国籍は特定の国家に所属することを表す資格であ(る)」(芦部信喜著・高橋和之補訂「憲法第6版」232頁)
【★2】 憲法10条 「日本国民たる要件は,法律でこれを定める」
【★3】 国籍法2条 「子は,次の場合には,日本国民とする。 一 出生の時に父又は母が日本国民であるとき。…」
【★4】 昭和59年5月18日成立,昭和60年1月1日施行「国籍法及び戸籍法の一部を改正する法律」(昭和59年法律45号)。
 1979年(昭和54年)に国連総会で「女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃(てっぱい)に関する条約」が採択されて日本も翌年に署名したことや,米軍基地がある沖縄でアメリカ人男性と日本人女性との間に生まれた子どもが無国籍になるケースがたくさんいたことが,改正の背景でした。
【★5】 父母両系血統主義と言います。
【★6】 父系血統主義と言います。
【★7】 生地主義と言います。
 アメリカ合衆国憲法修正14条1項 「合衆国内で生まれ…,かつ,合衆国の管轄(かんかつ)に服する者は,合衆国の市民であ(る)…」(アメリカンセンターJAPAN訳。https://americancenterjapan.com/aboutusa/laws/2566/
【★8】 フランスにも,生地主義の規定があります。両親がフランス国籍でなくても,フランス国内で生まれて一定の居住要件を満たした子は,フランスの成人年齢である18歳になったときに,フランス国籍を取得します。
【★9】 あなたが日本以外の国で生まれていたなら,親が出生届を出すときに,「国籍を日本にするかフランスにするかは,今決めないで,判断を先に延ばします」ということもいっしょに届けていたのだと思います。これを「国籍留保(りゅうほ)」と言います。もし生まれてから3か月以内にこの届出をしていないと,最初から日本の国籍を持っていなかったことに自動的にされてしまいます。もっとも,もしそのせいで自動的に日本の国籍を失っても,20歳になる前に日本に住んでいれば,法務局に届け出ることによって,日本の国籍をふたたび持つことができます。
 国籍法12条 「出生により外国の国籍を取得した日本国民で国外で生まれたものは,戸籍法の定めるところにより日本の国籍を留保(りゅうほ)する意思を表示しなければ,その出生の時にさかのぼって日本の国籍を失う」
 戸籍法104条1項 「国籍法第12条に規定する国籍の留保の意思の表示は,出生の届出をすることができる者…が,出生の日から3箇(か)月以内に,日本の国籍を留保する旨(むね)を届け出ることによって,これをしなければならない」
 同条2項 「前項の届出は,出生の届出とともにこれをしなければならない」
 国籍法17条1項 「第12条の規定により日本の国籍を失った者で20歳未満のものは,日本に住所を有するときは,法務大臣に届け出ることによって,日本の国籍を取得することができる」
【★10】 国籍法14条1項 「外国の国籍を有する日本国民は,外国及び日本の国籍を有することとなった時が20歳に達する以前であるときは22歳に達するまでに…いずれかの国籍を選択しなければならない」
【★11】 憲法22条2項 「何人(なんぴと)も,…国籍を離脱(りだつ)する自由を侵されない」
 国籍法13条1項 「外国の国籍を有する日本国民は,法務大臣に届け出ることによって,日本の国籍を離脱することができる」
 同条2項 「前項の規定による届出をした者は,その届出の時に日本の国籍を失う」
【★12】 もし,もう一方の外国が日本と同じように国籍を選択する制度【★10】を作っている国なら,その制度に基づいて外国の国籍を選択すれば,当然に日本国籍を失います。
 国籍法11条2項 「外国の国籍を有する日本国民は,その外国の法令によりその国の国籍を選択したときは,日本の国籍を失う」
【★13】 国籍法14条2項 「日本の国籍の選択は,外国の国籍を離脱することによるほかは,戸籍法の定めるところにより,日本の国籍を選択し,かつ,外国の国籍を放棄(ほうき)する旨の宣言(以下「選択の宣言」という。)をすることによってする」
【★14】 「日本国籍選択の宣言は,日本国籍を維持・確保し,併有(へいゆう)する外国国籍を一方的に放棄するとともに以後外国国籍に伴(ともな)う権利・特権を行使しないこと等の意思があることを,我が国に対して宣明(せんめい)することである。この選択宣言によって,日本と外国との重国籍者が現実に当該外国の国籍を喪失(そうしつ)するか否(いな)かは,当該外国の法令の定めるところによる。当該外国の法制上,我が国国籍法第11条第2項と同様な制度があれば選択宣言によってその国の国籍を喪失することになるが,そのような法制がない国の場合は,選択宣言によって重国籍は解消されない。現行国籍法が,日本国籍選択の一方法としてこのような選択の宣言の制度を設けたのは,重国籍を解消して日本国籍単一となるためには外国国籍を離脱(喪失)することが望ましいが,当該外国の法制上自国国籍の離脱を禁止したり,許可,認可等何らかの制限を設けている国がかなりあることから,一律に一定期限内に外国国籍の離脱を義務づけることは不可能な場合があり,また,実際上本人に過重な負担を負わせることになる場合もあり,結果的に事実上日本国籍選択の途(みち)がなくなることとなって適当でないことを考慮したものである」(法務省民事局法務研究会編「国籍実務解説-各国別主要先例・判例付-」86頁)
【★15】 選択の宣言は,外国の国籍をやめるよう「努力」しなければいけないだけで,実際に外国の国籍をやめないといけない「義務」ではありません。
 国籍法16条1項 「選択の宣言をした日本国民は,外国の国籍の離脱に努めなければならない」
【★16】 「重国籍者が,日本国籍の選択宣言をした場合に,前述のように当該外国の国籍を喪失するかどうかはその外国の法令の定めるところによる。…たとえ外国国籍を喪失しない場合でも,既(すで)に選択義務は履行(りこう)しているので,法務大臣から改めて選択の催告(国籍法15条1・2項)を受けることはないし,また,催告に基(もと)づく日本国籍の喪失(同法15条3項)ということもない」(法務省民事局法務研究会編「国籍実務解説-各国別主要先例・判例付-」87頁)
【★17】 選択の宣言をした後,その外国の公務員になった場合には,日本国籍を失うことになっています。しかし,実際にこの規定で日本国籍を失ったケースはありません(日本弁護士連合会2008年11月19日「国籍選択制度に関する意見書」11頁)。
 国籍法16条2項 「法務大臣は,選択の宣言をした日本国民で外国の国籍を失っていないものが自己の志望によりその外国の公務員の職(その国の国籍を有しない者であっても就任することができる職を除く。)に就任した場合において,その就任が日本の国籍を選択した趣旨に著(いちじる)しく反すると認めるときは,その者に対し日本の国籍の喪失の宣告をすることができる」
【★18】 国籍法15条1項 「法務大臣は,外国の国籍を有する日本国民で前条第1項に定める期限内に日本の国籍の選択をしないものに対して,書面により,国籍の選択をすべきことを催告(さいこく)することができる」
 同条3項 「前2項の規定による催告を受けた者は,催告を受けた日から1月以内に日本の国籍の選択をしなければ,その期間が経過した時に日本の国籍を失う。(略)」
【★19】 平成20年11月27日第170回参議院法務委員会会議録第5号23頁(http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/sangiin/170/0003/17011270003005.pdf
 「丸山和也君 実際の運用で少しお聞きしたいんですけれども,二重国籍に関する問題なんですけれども,15条で,法務大臣は,外国の国籍を有する日本国民で前条第1項に定める期限内に日本の国籍を選択しないものに対して,書面により,国籍の選択すべきことを催告できる,そしてこれを,催告を受けても選択しなかったら国籍を失うと,こういうふうになっているように思うんですけれども,こういう催告なんてやっているんでしょうか」
 (略)
 「政府参考人(倉吉敬君) 催告をしているかどうかという御質問でございます。しておりません」
 (略)
 「政府参考人(倉吉敬君) 実は今の下でだれが重国籍者なのかというのをもう把握できないわけでございます。そのような状況の中で,たまたま把握した人に催告をするのがいいのかと。もちろん,催告を受ける側は追い詰められるわけですから,どっちかを選択しなければならない,それが本当にいいのかという問題はございます。いや,そんな生ぬるいことでいいのかとか,いろんな御意見はあるわけですけれども,今のところはそういったもろもろの事情を考えて催告をしないということにしております」
【★20】 「この催告についての実務上の取扱いであるが,これまで催告を行った例はない。法務省は,その理由として,『国籍を喪失するということは,その人にとって非常に大きな意味がありますし,家族関係等にも大きな影響を及ぼすというようなことから,これは相当慎重に行うべき事柄である』こと,『国籍選択の履行は,複数国籍者の自発的な意志に基づいてされるのが望ましい』ということを挙げている。法務省は,周知活動の一環として,複数国籍であると把握できた者に対し,『国籍選択について』と題する文書を送付していた時期もあったが,現在はこれも行われていない」(日本弁護士連合会2008年11月19日「国籍選択制度に関する意見書」10頁。http://www.nichibenren.or.jp/library/ja/opinion/report/data/081119_3.pdf)
【★21】 日本弁護士連合会2008年11月19日「国籍選択制度に関する意見書」16頁では,複数国籍禁止制度の根拠として「一人の人間に対する対人主権を複数の国が持つということの問題」「二つの国の主権者として行使するということ自身の矛盾(むじゅん)」「法制度の抵触(ていしょく)」「外交保護権の問題」「犯罪人の引き渡し」「参政権の問題」「就職の際などに,国籍を明示する義務の範囲をめぐる問題」「鉱業権のように日本国民に限定する法律などの適用の問題」「一方の国籍国が忠誠義務を課した場合の問題」「公務員の就任についての問題」「他国の兵役に服するということは,日本のあり方として問題」を列挙したうえで,詳細に現代的検討を加え,「複数国籍を認めるべきでないとして挙げられる理由は,いずれも合理的な理由とはいえない」と結論づけています(http://www.nichibenren.or.jp/library/ja/opinion/report/data/081119_3.pdf)。
【★22】 法務省2014年推計(朝日新聞2014年7月6日記事)。
【★23】 二重国籍の人が海外を行き来するときのパスポートの問題については,国際結婚を考える会「二重国籍」(時事通信社)94頁,同会ウェブサイト(http://amf.world.coocan.jp/)を見てください。
【★24】 「国籍唯一の原則」と言います。1930年(昭和5年)に国際連盟で採択された「国籍法の抵触に関連するある種の問題に関する条約」にうたわれていますが,日本はこの条約に署名はしたものの批准はしていません(岡村美保子「重国籍-わが国の法制と各国の動向」レファレンス2003年11月号)。
【★25】 1997年に採択され,2000年に発効した「ヨーロッパ国籍条約」は,複数の国籍を認めることを締約国(ていやくこく)に義務づけています。
 同条約14条1項 「締約国は,左のことを許容しなければならない。 a 出生により当然に相異なる国籍を取得した子どもが,これらの国籍を保持すること。(略)」
 同条約7条1項 「締約国は,左に掲げる場合を除き,国内法において,法律上当然の又は締約国手動の国籍喪失(そうしつ)を規定してはならない。(略)」
奥田安弘・館田晶子「1997年のヨーロッパ国籍条約」(北大法学論集2000年50巻5号)
【★26】 児童の権利に関する条約(子どもの権利条約)8条1項 「締約国は,児童が法律によって認められた国籍,氏名及び家族関係を含むその身元関係事項について不法に干渉(かんしょう)されることなく保持する権利を尊重することを約束する」

2014年11月 1日 (土)

在日コリアンの身分証と通称

 

 在日コリアンです。「16歳以上になったら,外を出歩くときには身分証のカードを持っていないといけない」,と聞いていたんですが,最近法律が変わったとネットで見ました。今は,身分証のカードを持たなくてもいいんですか。あと,別のサイトでは,「法律が変わって,在日コリアンは日本名の通称が使えなくなった」とも書かれているんですが,本当ですか。

 

 法律が変わって,在日コリアンの人は,身分証のカードを持ち歩かなくてもOKになりました。


 また,「日本名の通称が使えなくなった」というのは,まちがいです。

 あなたが日本名の通称を使っているのなら,引き続きその名前を使うことができます。



 外国の人が,旅行や仕事などで,ちょっとのあいだだけ日本に来ているときは,

 「自分は,どこの国から来た,何という名前の人か」がわかるものをいつも持っていないと,

 何かトラブルがあったときに,本人も,まわりの人たちも,てがかりがなくて,こまってしまいます。

 だから,「外国の人は,出歩いたりするときに,いつもパスポートを持っていないといけない」,と法律で決まっています
【★1】

 パスポートを持っていないと,そのことじたいが犯罪になってしまいます
【★2】


 ただ,小さい子どものうちは,書類の大切さがよくわからないし,きちんとなくさないように持っていることも難しいですね。

 だから,パスポートを持ち歩かないといけないのは,16歳以上の人,とされています
【★3】【★4】


 でも,旅行などでちょっとだけ来たのではなく,日本で暮らしているという外国の人まで,いつもパスポートを持っていないといけないのでは,不便です。

 なので,いままでは,そういう人は,市役所や区役所で受け取る「外国人登録証明書」という小さいカードを持っていればOK,ということになっていました
【★5】

 しかし,そのカードを持ち歩かなければ,16歳以上なら,やはり犯罪になってしまいます。



 あなたやあなたの家族のような,在日コリアン(在日韓国・朝鮮人)の人も,以前は,そうでした。


 でも,在日コリアンの人たちには,他の外国の人たちとは,ちがった背景があります。


 今から100年あまり前の,1910年(明治43年),日本は,朝鮮半島(今の韓国と北朝鮮)を,自分の国にして,支配するようになりました【★6】

 これを,「韓国併合(かんこくへいごう)」と言います。

 朝鮮半島の人々は,日本国籍になりました。

 それから35年後の1945年(昭和20年),日本は大きな戦争に負けました。

 そして,朝鮮半島は,日本から独立しました
【★7】

 しかし,日本はそのとき,「朝鮮半島の人々の国籍がどうなるか」について,きちんと法律を作りませんでした。

 憲法では,「国籍のことは法律できちんと決めないといけない」としているのに
【★8】

 国会で議員たちが話し合って法律を作らずに,

 日本の役所が,「もともと朝鮮半島の人は,日本の国籍を失(うしな)う」,としてしまったのです
【★9】【★10】

 当時,すでにたくさんの人々が朝鮮半島からやってきて,日本の中で暮らしていました。

 日本が敗戦し,朝鮮が独立したとき,多くの人たちが朝鮮半島に帰りましたが,

 数十万人の人たちが,いろんな事情で,朝鮮半島に帰ることができませんでした
【★11】

 そうして日本にとどまったのが,在日コリアンの人たちです。

 韓国併合で,一方的に国籍を日本にされ,

 その日本にやってきたのに,

 こんどは,日本の敗戦・朝鮮の独立で,一方的に日本の国籍を奪(うば)われたのです。

 そういう背景があるのに,在日コリアンの人たちは,「外国人だから」という理由で,日本の中で,いろんな差別を受けてきました。



 国籍が日本の人は,身分証を持ち歩く必要はありません。

 免許証や「住基カード」などを持っていれば,いざというときに自分が誰かを証明できて便利ですが
【★12】

 だからといって,「それらを持ち歩かなければ犯罪」ということにはなりません。

 日本で暮らしているなら,外を歩いているその時に身分証がなくても,その人が誰なのかは,すぐにきちんとわかります。



 同じように,日本でずっと長く暮らしてきた在日コリアンの人たちだって,身分証を持ち歩かなくても,その人が誰なのかは,すぐにきちんとわかります。

 だから,「身分証を持ち歩かないといけない,そうでないと犯罪になる」,という法律には,とても強い批判がありました
【★13】

 そして,1999年(平成11年)に法律が変わって,「在日コリアンの人は,カードを持ち歩かなければいけないけど,持ち歩かなくても犯罪にまではならない」ということになり
【★14】

 さらに法律が変わって,2012年(平成24年)7月からは,「在日コリアンの人は,カードを持ち歩かなくてもOK」ということになりました
【★15】

 (カードのタイトルは,それまでの「外国人登録証明書」から,「特別永住者証明書」に変わりました)。

 なので,あなたも,身分証のカードを持ち歩く必要は,ありません。



 そのほかの外国籍の人は,今も,身分証を持ち歩かなければ,犯罪になってしまいます。

 でも,よく考えてみれば,在日コリアン以外の外国籍の人も,

 ずっと長く日本に暮らしているのであれば,

 身分証のカードを持ち歩かなくても,その人が誰なのかは,すぐにきちんとわかります。

 ましてや,子どもは,親を選んで生まれてくることはできません。

 だから,日本で生まれて,ずっと暮らしてきている外国籍の人なら,

 在日コリアンの人たちと同じように,身分証のカードを持ち歩かなくてもよいようにしていくべきだと,私は思います
【★16】【★17】


 在日コリアンの人は,

 韓国/朝鮮の名前で暮らしている人もいますし,

 日本名で暮らしている人もいます。

 在日コリアンの人が使っている日本名を,法律では,「通称(つうしょう)」と言います。

 韓国併合で,朝鮮半島の人たちの国籍が日本になった,ということは,さっき書きましたが,

 その30年後の1940年(昭和15年)には,そのほとんどの人が,日本名を持つことになりました
【★18】

 今,在日コリアンの人で日本名の通称を使っている人がいるのは,そういう歴史的な背景があります。



 今までのカード(外国人登録証明書)には,韓国/朝鮮の名前といっしょに,通称も書かれていました。

 今回,法律が変わり,在日コリアンの人に渡される新しいカード(特別永住者証明書)には,通称は書かれません。

 そのことから,インターネットでは,「通称が使えなくなった」というコメントを見ることがあります。

 でも,「通称が使えなくなった」というのは,まちがいです。

 通称を使う必要がある,と認められた外国籍の人は,

 住民票に通称を載せることができますし
【★19】

 「住基カード」にも,通称を載せることができます
【★20】


 そもそも,通称を住民票や住基カードに載せることができるのは,在日コリアンの人に限(かぎ)った話ではありません。

 通称が必要な外国籍の人は,在日コリアンの人でなくても,使うことができます。

 実際,日本名の通称を使っている外国籍の人は,在日コリアンの人以外にも,たくさんいます。



 自分はいったい,どんな人間なのか。

 そのことを,「アイデンティティ」と言います。

 アイデンティティは,人が人であるために欠かせないものです。

 特に,子どもから大人になるころは,自分がどんな人間なのかを考える,自分さがしをする大切な時期です。

 そして,国籍,民族,自分の名前は,アイデンティティにかかわる重要なことがらです。

 韓国/朝鮮の名前で暮らすか,日本名で暮らすかは,

 「こうしなければいけない」,という答えはありません。

 自分自身の気持ちや,まわりの状況,いろんなことをふまえて,

 自分で考え,自分らしい生き方を選んでいってください
【★21】【★22】


 今,インターネットでは,在日コリアンの人々を攻撃したり,この社会から除(の)け者にしようとする「ヘイトスピーチ」が,多くあふれています。

 「在日特権」などという言葉で,在日コリアンの人たちが何か特別な利益(りえき)を得(え)ているかのような,でたらめなデマが,多く流れています
【★23】

 実際には,在日コリアンの人たちが特別な利益を得ていることなど,ありません。

 むしろ,さまざまな不利益を受け続けてきたのです。



 どんな人であっても,一人ひとりが,大切な存在として扱(あつか)われ,尊重(そんちょう)されること。

 法律は,そのことを一番大切にしています。

 それは,民族や国籍がどのようであっても,同じです
【★24】


 人種差別撤廃(てっぱい)条約という,ヘイトスピーチをなくすための世界の国々との約束の輪の中には,日本も入っています
【★25】

 ヘイトスピーチをなくしていくことは,

 差別されている人々を守るだけでなく,

 「一人ひとりがお互いを尊重し合う」という,私たちの公正な社会を守ることにつながります。


 在日コリアンの子どもたちや,そのほかの外国籍の子どもたちが,

 子どものときも,これから先,大人になっても,

 差別されることのない社会であること。

 そのために,この社会を築(きず)いている私たち一人ひとりが,

 みんなでしっかり取り組んでいかなければいけません
【★26】。

 そして,実際に今,「ヘイトスピーチをなくそう」と一生懸命取り組んでいる人たちが,この社会の中にたくさんいる,ということを,

 ぜひ知っておいてほしいと思います。

 

【★1】 出入国管理及び難民認定法23条1項 「本邦(ほんぽう)に在留(ざいりゅう)する外国人は,常(つね)に旅券…を携帯していなければならない。(略)」
 「旅券」というのは,パスポートのことです。
【★2】 出入国管理及び難民認定法76項 「次の各号のいずれかに該当(がいとう)する者は,10万円以下の罰金に処(しょ)する。 一 第23条第1項の規定に違反した者 (略)」
【★3】 出入国管理及び難民認定法23条5項 「16歳に満たない外国人は,第1項本文及び第2項の規定にかかわらず,旅券等を携帯することを要(よう)しない。」
【★4】 坂中英徳・齋藤利男著「出入国管理及び難民認定法逐条解説・改訂第三版」462頁 「本邦に在留する外国人の在留管理をくまなく行うという立場からすると,すべての在留外国人に対して旅券…の携帯義務を課すことも考えられるが,年少者の事理(じり)の弁識(べんしき)能力や旅券等の管理・保管能力を考慮すると,年齢のいかんに関わらず一律(いちりつ)に携帯義務を課すのは適当ではない。そこで,本項は,一定の年齢を基準として携帯義務を課することとし,本人の事理弁識能力,刑法における責任能力,外国人登録証明書の携帯義務年齢,義務教育終了年齢等を勘案(かんあん)して,その年齢を16歳以上と定めたものである。」
【★5】 改正前の出入国管理及び難民認定法23条1項但書 「ただし,外国人登録法による外国人登録証明書を携帯する場合は,この限りでない。」
【★6】 韓国併合に関する条約1条 「韓国皇帝陛下は韓国全部に関する一切の統治権を完全且(かつ)永久に日本国皇帝陛下に譲与(じょうよ)す」
同条約2条 「日本国皇帝陛下は前条に掲(かか)げたる譲与を受諾(じゅだく)し且全然韓国を日本帝国に併合することを承諾(しょうだく)す」
【★7】 6年後の1951年(昭和26年),日本が連合国との間で結んだ「サンフランシスコ平和条約」に,そのように書かれています。「連合国」というのは,第二次世界大戦で,日本・ドイツ・イタリアなどの「枢軸国」(すうじくこく)を相手に戦った,アメリカ・イギリス・フランス・ソビエト連邦・中華民国を中心に連合した国々のことです。
 サンフランシスコ平和条約2条(a) 「日本国は,朝鮮の独立を承認して,済州(さいしゅう/チェジュ)島,巨文(きょぶん/コムン)島及び欝陵(うつりょう/ウルルン)島を含む朝鮮に対するすべての権利,権原(けんげん)及(およ)び請求権を放棄(ほうき)する。」
【★8】 憲法10条 「日本国民たる要件は,法律でこれを定める。」
【★9】 「平和条約の発効に伴う朝鮮人台湾人等に関する国籍及び戸籍事務の処理について」(昭和27年4月19日,法務府・民事甲第438号民事局長通達) 「第一 朝鮮及び台湾関係」「(一) 朝鮮及び台湾は,条約の発効の日から日本国の領土から分離することとなるので,これに伴(ともな)い,朝鮮人及び台湾人は,内地(ないち)に在住している者を含(ふく)めてすべて日本の国籍を喪失(そうしつ)する。」
【★10】 最高裁判所大法廷昭和36年4月5日判決(民集15巻4号657頁)は,法律がなくても,平和条約によって「朝鮮に属すべき人に対する主権を放棄した」からかまわない,としました。
 しかし,それまでの国際法上の慣例(かんれい)として,戦争が終わったときに,定住外国人が国籍を選ぶ自由がありました。そういったことを理由として,日本の対応や最高裁の考え方は間違っている,という,強い批判があります(大沼保昭「在日韓国・朝鮮人の国籍と人権」)。
【★11】 菊池嘉晃さんは,1946年9月のGHQ参謀第2部調査報告が,在日コリアンの人々が朝鮮半島への帰国を見合わせた理由を,(1)帰還を思いとどまらせる制限(GHQの定めた持帰金制限など),(2)帰還を思いとどまらせる朝鮮の状況,(3)在日コリアンが日本での生活に融合(ゆうごう)していること,と報告していることを指摘し,次のように述べています(菊池嘉晃「北朝鮮帰国事業」中公新書23頁)。
 「この時点で残留していた在日コリアンの多くは日本滞在歴が比較的長い人々であり,日本に生活基盤を置いていた人々が多かった。故郷での生活基盤が脆弱(ぜいじゃく)ないし皆無(かいむ)で,なおかつ朝鮮南部が混乱状態では,生活者として帰国をためらうのは当然だったのである。日本生まれの子どもを持つ家庭では,母国語に習熟していない子どもの問題もネックであった」
【★12】 「住基カード」は,正式には「住民基本台帳カード」と言います。市区町村で発行してもらうことができます。
【★13】 1993年(平成5年)11月4日国連自由権規約委員会の最終見解第9項 「当委員会は,在日韓国・朝鮮人,部落民及びアイヌ少数民族のような社会集団に対する差別的な取扱いが日本に存続していることについて懸念を表明するものである。永住的外国人であっても,証明書を常時携帯しなければならず,また刑罰の適用対象とされ,同様のことが,日本国籍を有する者には適用されないことは,規約に反するものである。」
【★14】 当時の出入国管理及び難民認定法76条 「次の各号のいずれかに該当する者は,10万円以下の罰金に処する。 一 第23条第1項の規定に違反して旅券又は許可証を携帯しなかった者(特別永住者を除く)。」
 「特別永住者」は,そのほとんどが在日コリアンの人々です。
 このときの法律改正で,在日コリアンの人たちが外国人登録証を持っていないことは,犯罪でなくなり,刑罰はなくなりましたが,「過料(かりょう)」という行政罰(ぎょうせいばつ)は残っていました。
 当時の出入国管理及び難民認定法77条の2 「特別永住者が第23条第1項の規定に違反して旅券又は許可書を携帯しなかったときは,10万円以下の過料に処する。」
【★15】 日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法17条4項 「特別永住者については,入管法第23条第1項本文の規定(これに係(かか)る罰則を含む。)は,適用しない。」
【★16】 かつて,外国の国籍の人が日本で暮らすときには,役所で指紋を取られていました(指紋押捺(おうなつ)制度)。このことに対して大きな反対運動があり,平成4年にまず在留資格が永住・特別永住の人たち(主に在日コリアンの人たち)の指紋押捺制度が廃止されました。そして,平成12年に,すべての外国の人の指紋押捺が廃止になりました。身分証の携帯義務も,同じように変わっていくことが必要だと思います。
【★17】 特別永住者以外の人の身分証のタイトルは,それまでの「外国人登録証明書」から,「在留カード」に変わりました。
【★18】 「創氏改名(そうしかいめい)」と言います。
 1939年(昭和14年)11月7日政令「朝鮮民事令中を改正す(壻(むこ)養子制度創設及(および)之(これ)と関係する氏(うじ)に関する規定)」 「朝鮮民事令中左の通(とおり)改正す 第11条第1項中『但(ただ)し』の下に『氏,』を…加え同条に左の一項を加(くわ)う 氏は戸主(こしゅ)…之(これ)を定む」
 (改正後の朝鮮民事令第11条第1項 「朝鮮人の親族及(および)相続に関しては別段の規定あるものを除くの外(ほか)第1条の法律に依(よ)らず慣習に依(よ)る但(ただ)し氏(うじ),婚姻年齢,裁判上の離婚,…(略)…に関する規定はこの限(かぎり)に在(あ)らず」
 同制令附則 「(略)朝鮮人戸主…は本令施行後6月以内に新(あらた)に氏を定め之(これ)を府尹(ふいん)又は邑(ゆう)面(めん)長に届出づることを要す (略)」
 1939年(昭和14年)11月7日政令「朝鮮人の氏名に関する件」 1条 「御歴代御諱(いみな)又は御名は之を氏名又は名に用(もち)うることを得ず 自己の姓(せい)以外の姓は氏(うじ)として之(これ)を用(もち)うることを得(え)ず但(ただ)し一家創立の場合に於(おい)ては此(こ)の限(かぎり)に在(あ)らず」
 同2条 「氏名は之を変更する事を得ず但し正当の事由ある場合に於(おい)て朝鮮総督の定むる所に依(よ)り許可を受けたる時は此(こ)の限(かぎり)に在(あ)らず」
【★19】 住民基本台帳法7条 「住民票には,次に掲げる事項について記載…をする。 (略) 十四  前各号に掲げる事項のほか,政令で定める事項」
 住民基本台帳法施行令30条の25 「外国人住民に係る住民票の法第7条第14号 に規定する政令で定める事項は,第6条の2に定めるもののほか,次に掲げる事項とする。 一  次条第一項に規定する通称」
 同施行令30条の26第1項 「外国人住民は,住民票に通称(氏名以外の呼称であって,国内における社会生活上通用していることその他の事由により居住関係の公証のために住民票に記載することが必要であると認められるものをいう。…)の記載を求めようとするときは,その者が記録されている住民基本台帳を備える市町村の市町村長…に,通称として記載を求める呼称その他総務省令で定める事項を記載した申出書を提出するとともに,当該呼称が居住関係の公証のために住民票に記載されることが必要であることを証するに足りる資料を提示しなければならない。」
 同条2項 「住所地市町村長は,前項の規定による申出書の提出があった場合において,同項に規定する当該呼称を住民票に記載することが居住関係の公証のために必要であると認められるときは,これを当該外国人住民に係る住民票に通称として記載しなければならない。」
【★20】 住民基本台帳法30条の44 「住民基本台帳に記録されている者は,その者が記録されている住民基本台帳を備える市町村の市町村長…に対し,自己に係る住民基本台帳カード(その者に係る住民票に記載された氏名その他政令で定める事項…が記載され,かつ,当該住民票に記載された住民票コードが記録された半導体集積回路…が組み込まれたカードをいう。…)の交付を求めることができる。
 住民基本台帳法施行令30条の12 「法第30条の44第1項に規定する政令で定める事項は,住民基本台帳カードの交付を受けようとする者(次条及び第30条の15において「交付申請者」という。)がその者に係る住民票に記載された出生の年月日,男女の別及び住所が記載された住民基本台帳カードの交付を求める場合においては,住民票に記載された出生の年月日,男女の別及び住所とする。」
 同施行令30条の26第7項 「外国人住民に係る住民票に通称が記載されている場合における法及びこの政令の規定の適用については,次の表の上欄に掲げる規定中同表の中欄に掲げる字句は,それぞれ同表の下欄に掲げる字句に読み替えるものとする。 (略) (上欄)第30条の12 (中欄)次条及び第30条の15において「交付申請者」という。)がその者 (下欄)以下「交付申請者」という。)に係る住民票に記載された通称のほか,交付申請者がその者」
【★21】 今から40年ほど前,在日コリアンの人が,履歴書(りれきしょ)の「本籍」のところに日本での出生地,「氏名」のところに日本名を書いて会社に就職したところ,会社側がその人を解雇(かいこ)した,という事件で,横浜地方裁判所昭和49年6月19日判決(判例時報744号29頁。日立製作所事件)は,次のように述べて,解雇は無効だとしました。
 「戦後も現在に至るまで,在日朝鮮人は,就職に関して日本人と差別され,大企業にほとんど就職することができず,多くは零細(れいさい)企業や個人経営者の下に働き,その職種も肉体労働や店員が主で,一般に労働条件も劣悪(れつあく)の場所で働くことを余儀(よぎ)なくされている。また在日朝鮮人が朝鮮人であることを公示して大企業等に就職しようとしても受験の機会さえ与えられない場合もあり,そのため在日朝鮮人のなかには,本名を使わず日本名のみを使い,朝鮮人であることを秘匿(ひとく)して就職しているものも多い。右のような現状は,在日朝鮮人の間では,広く知れわたっている事実であり,いわば常識化していることである。そして,又,我国の一流と目(もく)される大企業の間においても,特殊(とくしゅ)の例外を除き,在日朝鮮人であるというだけの理由で,これが採用を拒(こば)み続けているという事実も,公式に或(あるい)は積極的な表現こそ避(さ)けてはいるものの,当然のこととし常識化しているところである。原告は,右の多くの在日朝鮮人と同じように,生れたときから,日本名『△△』を命名され,以後日本の小,中,高等学校でも終始,右日本名のみを使い,同僚(どうりょう)や教師からも同様に呼ばれており(卒業証書等における氏名も同様である。),本名の『○○』は自ら使用した生活場面もなく,ただ外国人登録証明書や運転免許証などのわずかの公文書のうえで見かけたに過ぎない縁遠い名前となっていた。また,原告は,親兄弟や周囲の同胞(どうほう)の体験を知って行く中で,前記の在日朝鮮人に対する就職差別の現実を知り,被告のような大企業に就職しようとする際,履歴書の本籍欄に『本籍なし』とか『慶尚北道(けいしょうほくどう/キョンサンプクト)……』」(外国人登録証明書中の国籍の属する国における住所,又は居所)と記載することは,とりもなおさず原告が在日朝鮮人であることを公示することとなり,そうなれば就職はおろか受験の機会すら奪われる心配があると思うようになった。そのため,原告は,履歴書,身上書および身上調書の氏名欄に通名となっている『△△』を記載し,履歴書の本籍欄には自己の出生地(両親の現住所と同じ)を記載して,被告に提出した。なお,原告は,学校の成績も良く,簿記一級,珠算三級の資格を有していたので,採用された後被告に朝鮮人であることが判明されたとしても,真面目に働いてさえいれば,解雇されることはないものと予測していた。」…(略)…
 「原告が履歴書等に本名,本籍について真実の記載をせず,採用試験受験に当って真実を申告しなかった点について検討すると,前記…のとおり,在日朝鮮人である原告にとって日本名『△△』は,出生以来ごく日常的に用いて来た通用名であり,これを『偽名』とすることはできないばかりでなく,原告が氏名に本名『○○』を使用し,本籍につき真実を申告することはとりもなおさず原告が在日朝鮮人であることを公示することになるのであるから,原告が被告会社に就職したい一心から,自己が在日朝鮮人であることを秘匿して,日本人らしく見せるために氏名に通用名を記載し,本籍に出生地を記載して申告したとしても,前記のように,原告を含む在日朝鮮人が置かれていた状況の歴史的社会的背景,特に,我が国の大企業が特殊の例外を除き,在日朝鮮人を朝鮮人であるというだけの理由で,これが採用を拒みつづけているという現実や,原告の生活環境等から考慮すると,原告が右詐称(さしょう)等に至(いた)った動機には極めて同情すべき点が多い。一般に,私企業者には契約締結(ていけつ)の自由があるから,立法,行政による措置や民法90条の解釈による制約がない限り労働者の国籍によってその採用を拒否することも,必ずしも違法とはいえないのである。しかし,被告は表面上,又本件訴訟における主張としても,原告が在日朝鮮人であることを採用拒否の理由としていない…ほどであるから,原告が前記のように『氏名』,『本籍』を詐称したとしても(その結果,被告会社は原告が在日朝鮮人であることを知ることができなかったとしても),これをもって被告会社の企業内に留めておくことができないほどの不信義性があり,とすることはできないものといわなければならない。」
【★22】 最近では,在日コリアンの人が職場で日本名の通称を使うよう求められたことについて訴えた裁判があり,大阪高等裁判所平成25年11月26日判決(訟務月報60巻6号1239頁)は,本人が韓国/朝鮮の名前を使うようはっきりと求めている場合には,そのように正確に韓国/朝鮮の名前で呼ばれることは,保護を受けられる人格的な利益がある,としました。
 「氏名の呼称(こしょう)については,最高裁昭和63年2月16日第三小法廷判決・民集42巻2号27頁の事案において,『氏名は,社会的にみれば,個人を他人から識別し特定する機能を有するものであるが,同時に,その個人からみれば,人が個人として尊重される基礎であり,その個人の人格の象徴であって,人格権の一内容を構成するものというべきであり,人は,その氏名を正確に表示し,他人から正確に呼称されることについて,不法行為上の保護を受けうる人格的な利益を有する』ものであるとされている。この事案における『氏名の正確な呼称』とは,在日韓国人の本名について,『日本語音読み』ではなく『民族語音読み』による呼称のことをいうものであって,本名の呼称と通名の呼称が問題となる本件とは事案を異(こと)にするものである。しかし,本件のように個人を他人から識別し特定する機能を有するという意味では『本名』と『通名』があるものの,当該本人において,『本名』が『アイデンティティを守るための個人の人格の象徴である。』と認識する場合には,『本名による呼称』を尊重すべきである。以上によれば,控訴人(こうそにん)が『本名による呼称』を明示的に求める場合には,『本名の正確な呼称』について,不法行為上の保護を受けうる人格的な利益を有するものと解される。」
 「しかし他方,控訴人にとっては,通名により呼称されることが自己の朝鮮民族としての人間的な誇りを根幹(こんかん)から奪い去り人間性を破壊しアイデンティティを否定する著(いちじる)しい人格侵害行為であると認識されるようなものであるとしても,本件当時の外国人登録証には控訴人の本名とともに通名が併記(へいき)されていたように,在日韓国人に関する通名による呼称は,社会的には当該個人を他人から識別し特定する氏名としての機能を有し,我が国の社会一般の認識として是認されてきたものである。そうすると,通名の呼称や通名の使用に関連する全(すべ)ての行為が当然に不法行為となるものではなく,在日韓国人が『本名による正確な呼称』を明示的に求めている場合に,そのことを認識しながら,在日韓国人に対して,害意をもって,ことさらに通名の呼称をするなどの特段の事情がない限り,通名による呼称や通名の使用を求める行為は違法性のないものとして容認されるべきである。」
【★23】 「『在日特権』の虚構(きょこう)」(野間易通著,河出書房新社)という本で,いわゆる「在日特権」がデマであることが,詳しく書かれています。
【★24】 憲法13条 「すべて国民は,個人として尊重(そんちょう)される。生命,自由及び幸福追求に対する国民の権利については,公共の福祉(ふくし)に反しない限り,立法その他の国政の上で,最大の尊重を必要とする。」
 憲法14条1項 「すべて国民は,法の下(もと)に平等であって,人種,信条,性別,社会的身分又は門地(もんち)により,政治的,経済的又は社会的関係において,差別されない。」
 憲法では「国民は」という言葉が使われていて,外国の人にはあてはまらないようにも読めますが,芦部信喜教授は,「人権が前国家的・前憲法的な性格を有するものであり,また,憲法が国際主義の立場から条約および確立された国際法規の遵守(じゅんしゅ)を定め(98条),かつ,国際人権規約等にみられるように人権の国際化の傾向が顕著(けんちょ)に見られるようになったことを考慮するならば,外国人にも,権利の性質上適用可能な人権規定は,すべて及ぶと考えるのが妥当(だとう)である。通説及び判例も,そう解(かい)する。」と述べています(「憲法 第4版」90頁)。
 経済的,社会的及び文化的権利に関する国際規約(A規約)2条2項 「この規約の締約国は,この規約に規定する権利が人種,皮膚の色,性,言語,宗教,政治的意見その他の意見,国民的若(も)しくは社会的出身,財産,出生又は他の地位によるいかなる差別もなしに行使されることを保障することを約束する。」
 市民的及び政治的権利に関する国際規約(B規約)2条1項 「この規約の各締約国は,その領域内にあり,かつ,その管轄(かんかつ)の下にあるすべての個人に対し,人種,皮膚の色,性,言語,宗教,政治的意見その他の意見,国民的若しくは社会的出身,財産,出生又は他の地位等によるいかなる差別もなしにこの規約において認められる権利を尊重し及び確保することを約束する。」
 同規約26条 「すべての者は,法律の前に平等であり,いかなる差別もなしに法律による平等の保護を受ける権利を有する。このため,法律は,あらゆる差別を禁止し及び人種,皮膚の色,性,言語,宗教,政治的意見その他の意見,国民的若(も)しくは社会的出身,財産,出生又は他の地位等のいかなる理由による差別に対しても平等のかつ効果的な保護をすべての者に保障(ほしょう)する。」
【★25】 あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約(人種差別撤廃条約)2条1項 「締約国(ていやくこく)は,人種差別を非難(ひなん)し,また,あらゆる形態の人種差別を撤廃する政策及びあらゆる人種間の理解を促進(そくしん)する政策をすべての適当な方法により遅滞(ちたい)なくとることを約束する。このため, (略) (d)各締約国は,すべての適当な方法(状況により必要とされるときは,立法を含む。)により,いかなる個人,集団又は団体による人種差別も禁止し,終了させる。」
 同条約4条 「締約国は,・・・このような差別のあらゆる扇動(せんどう)又は行為(こうい)を根絶(こんぜつ)することを目的とする迅速(じんそく)かつ積極的な措置(そち)をとることを約束する。このため,締約国は,世界人権宣言に具現(ぐげん)された原則及び次条に明示的に定める権利に十分な考慮を払って,特に次のことを行う。
(a)人種的優越(ゆうえつ)又は憎悪(ぞうお)に基(もと)づく思想のあらゆる流布(るふ),人種差別の扇動,いかなる人種若しくは皮膚の色若しくは種族的出身を異(こと)にする人の集団に対するものであるかを問わずすべての暴力行為又はその行為の扇動及び人種主義に基づく活動に対する資金援助を含むいかなる援助の提供も,法律で処罰すべき犯罪であることを宣言すること。
(b)人種差別を助長し及び扇動する団体及び組織的宣伝活動その他のすべての宣伝活動を違法であるとして禁止するものとし,このような団体又は活動への参加が法律で処罰すべき犯罪であることを認めること。
(c)国又は地方の公の当局又は機関が人種差別を助長(じょちょう)し又は扇動することを認めないこと。」
 日本は,この4条のうち,(a)と(b)について,「日本国憲法の下における集会,結社及び表現の自由その他の権利の保障と抵触しない限度において,これらの規定に基づく義務を履行(りこう)する」という留保(りゅうほ)を付けています。
【★26】 京都の朝鮮学校が,在日特権をなくすことを目的とする団体などに対して,学校近辺などでされた示威(じい)活動や,その映像をインターネットで公開したことについて,損害賠償(そんがいばいしょう)などを求めた事件で,京都地方裁判所は,次のように述べて,高額の慰謝料(いしゃりょう)を団体側が学校に払うよう,判決を言い渡しました(京都地方裁判所平成25年10月7日判決・判例時報2208号74頁。東京高等裁判所平成26年7月8日判決も地裁判決を維持(いじ))。
 「日本政府は,昭和63年,人種差別撤廃条約に基づき設立された国連の人種差別撤廃委員会において,日本の刑事法廷が『人種的動機(racial motivation)』を考慮しないのかとの質問に対し,『レイシズムの事件においては,裁判官がしばしばその悪意の観点から参照し,それが量刑の重さに反映される』と答弁したこと,これを受けて人種差別撤廃委員会は,日本政府に対し『憎悪的及びレイシズム的表明に対処する追加的な措置,とりわけ…関連する憲法,民法,刑法の規定を効果的に実施することを確保すること』を求めた事実が認められる。すなわち,刑事事件の量刑の場面では,犯罪の動機が人種差別にあったことは量刑を加重(かじゅう)させる要因となるのであって,人種差別撤廃条約が法の解釈適用に直接的に影響することは当然のこととして承認されている。同様に,名誉毀損(めいよきそん)等の不法行為が同時に人種差別にも該当(がいとう)する場合,あるいは不法行為が人種差別を動機としている場合も,人種差別撤廃条約が民事法の解釈適用に直接的に影響し,無形損害の認定を加重させる要因となることを否定(ひてい)することはできない。また,前記のとおり,原告に対する業務妨害や名誉毀損が人種差別として行われた本件の場合,わが国の裁判所に対し,人種差別撤廃条約2条1項及び6条から,同条約の定めに適合する法の解釈適用が義務付けられる結果,裁判所が行う無形損害の金銭評価についても高額なものとならざるを得ない。」

2013年7月 1日 (月)

父親が日本人なので日本国籍をとりたい

 

 高校生です。母は外国籍です。でも,父が日本国籍で,私も生まれてからずっと日本で育ってきたし,自分の名前も日本風なので,自分の国籍は日本だと,ずっと思ってました。だけど,最近になって,じつは,両親が結婚していなかったこと,そして,自分の国籍が日本ではなく,本名もいままでずっと使ってきた名前とはちがっていたということを知りました。私が日本国籍になることはできますか。

 

 あなたがお父さんから認知(にんち)されていれば,届出をすることで,日本国籍になることができます。


 自分の国籍や名前がちがっていたと知って,とてもおどろきましたよね。


 自分が一体どんな人間なのか。

 そのことを,難しい言葉で,「アイデンティティ」と言います。

 アイデンティティは,人が人であるために欠かせないものです。

 特に,子どもから大人になるころは,自分がどんな人間なのかを考える,自分さがしをする時期です。

 そして,国籍や名前は,アイデンティティをかたちづくるうえで,大切なものの中の一つです。


 本当のことを知っておどろき,自分のアイデンティティがゆらぐことは,苦しいことだと思います。

 そして,大人から本当のことをきちんと教えてもらえていなかったことに対する,悲しさやさみしさも,きっと感じたのではないかと思います。


 日本の国籍になるのは,お父さんかお母さんが日本国籍であることが,基本的な条件です。


 「お母さんがだれか」ということは,産んだ人がだれかで決まるので,わかりやすいですよね【★1】

 それにくらべて,「お父さんがだれか」ということは,わかりづらいときがあります。

 お父さんとお母さんが結婚しているなら,法律上は,自動的に,「夫が,その子のお父さん」,となります
【★2】

 あなたのお父さんとお母さんは,結婚していないのですよね。

 こういうときには,お父さんが,役所に,「この子は自分の子です」と届出をします。

 これを,「認知(にんち)」と言います
【★3】

 日本国籍を持っている人についての情報は,市役所や区役所が,「戸籍(こせき)」というもので管理しています。

 お父さんの戸籍を取り寄せてみてください。

 お父さんがあなたを「認知」していれば,お父さんの戸籍の情報の中に,そのことが書かれています。


 あなたがお父さんから「認知」されていれば,20歳になる前に法務局に届出をすれば,日本国籍をとることができます【★4】【★5】

 あなたは高校生で,15歳以上ですから,自分で届出をします
【★6】

 14歳以下の子どもであれば,お母さんに代わりに届出をしてもらいます。

 20歳になった後でも日本国籍を取るための手続はありますが,20歳になる前に届出をするほうが確実です
【★7】

 届出が受け付けられれば,日本国民として,あなたの戸籍ができます。

 その戸籍に,あなたがいままで使っていた名前を載せてもらうことで,これからはその名前をあなたの「本名」として使っていくことができます。


 「認知」されていなければ,お父さんに,「認知」をするよう話をしてください。

 お父さんが応じてくれなければ,裁判所でお父さんと話し合います(「調停(ちょうてい)」と言います)。

 それでもお父さんが応じてくれなければ,裁判をして判決を出してもらいます(「認知の訴え」と言います)
【★8】

 そして,「認知」されたうえで,上に書いた届出の手続をします。


 国籍が日本かどうかは,

 選挙権があるか,

 どこの国のパスポートを使うのか,

 就職のときに公務員になれるか,

 これからやがて出会う人と家族になるときに,家族内の問題にどこの国の法律があてはまることになるか,など,

 人生のいろんなところにかかわってくる,法律的にとてもだいじなことです。


 いままで自分のことをきちんと大人から教えてもらえていなかったことを知って,つらかったと思います。

 これからのあなたの人生は
,ぜひ,あなた自身で切り開いていってください。

 

【★1】母と子の関係は,認知は必要なく,「分娩(ぶんべん)の事実」,つまり出産したということで,当然に認められる,とされています(最高裁昭和37年4月27日判決・民集16巻7号1247頁)。
【★2】民法772条1項「妻が婚姻(こんいん)中に懐胎(かいたい)した子は,夫の子と推定(すいてい)する」
【★3】民法779条「嫡出(ちゃくしゅつ)でない子は,その父…がこれを認知することができる」
 「嫡出」というのは,法律的に結婚している男女の間の子ども,という意味です。
【★4】国籍法2条「子は,次の場合には,日本国民とする。
 一 出生の時に父又は母が日本国民であるとき。…」
 国籍法3条1項「父又は母が認知した子で20歳未満のものは,認知をした父又は母が子の出生の時に日本国民であった場合において,その父又は母が現に日本国民であるとき,又はその死亡の時に日本国民であったときは,法務大臣に届け出ることによって,日本の国籍を取得することができる」
【★5】じつは,つい最近まで,お父さんとお母さんが結婚しなければ日本国籍はとれない,認知だけでは日本国籍がとれない,ということになっていました。でも,最近では,法律的に結婚していない,いろんな家族の形が増えてきています。両親が結婚しているからその子が日本との結びつきが強くて,両親が結婚していないからその子が日本との結びつきが弱い,などというのは,もう現在では通用しない考え方です。最高裁判所は,そのような考え方に立って,以前の法律が「法の下(もと)の平等」を定(さだ)めている憲法にてらしてまちがっている,とする違憲判決(いけんはんけつ)を出しました(最高裁大法廷平成20年6月4日判決・民集62巻6号1367頁)。この判決をふまえて平成21年から新しくなった法律が,記事の本文で説明したものです。
 憲法14条1項「すべて国民は,法の下に平等であって,人種,信条(しんじょう),性別,社会的身分又は門地(もんち)により,政治的,経済的又は社会的関係において,差別されない」
【★6】戸籍法18条「第3条第1項…による国籍取得の届出…は,国籍の取得…をしようとする者が15歳未満のときは,法定代理人が代わってする」
【★7】20歳を超えると,「帰化(きか)」という手続になり,帰化は法務大臣が「許可することができる」,つまり,「許可しないこともできる」ということにもなるので,20歳になる前に届出をしたほうがよいのです(国籍法8条)。
【★8】民法787条「子…は,認知の訴えを提起(ていき)することができる」
 もしお父さんが亡くなっている場合は,3年以内に,検察官を相手に,認知の訴えをおこす必要があります。
 民法787条但書「ただし,父…の死亡の日から3年を経過したときは,この限りではない」
 人事訴訟法42条1項「認知の訴えにおいては…その者が死亡した後は,検察官を被告とする」