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2017年7月 1日 (土)

学校で制服を着ないといけないのが嫌だ

 

 市立の中学生です。去年まで暮らしていた海外では中学でも私服だったので,ここの学校で制服を着て通学しないといけないのが,なんとなく嫌だなと思ってます。でも,同級生たちはあまり疑問に思ってないみたいです。学校の制服って,法律で決まってることなんですか。

 

 

 「学校で生徒が制服を着なければいけない」とは,法律に書かれていません。

 制服のルールは,それぞれの学校が決めています。

 でも,公立の中学では,絶対に着なければいけないものではありません。





 制服が「なんとなく嫌だ」と思うあなたの気持ちは,まったく自然なものです。




 人は,他の人に迷惑をかけないかぎり,何をしてもいいという自由があります。



 自分らしい毎日を過ごすこと,自分らしい人生を送ることは,

 けっして,わがままや自分勝手ではありません。

 むしろ,法律がだいじにしていることです。

 一人ひとりが大切な存在として扱われ,幸せな毎日・人生を送れるためにこそ,法律があるのです
【★1】


 特に,

 言いたいことを言えること,

 書きたいことを書けること,

 描きたいことを描けること,

 歌いたいことを歌えること,

 踊りたいことを踊れること,

 そういうふうに自分を表現できることは,自分らしく生きることにつながります。

 そして,いろんな人のいろんな表現が混じり合うことで,

 一人ひとりが成長することができ,社会全体も豊かなものになります。



 だから,憲法は,表現の自由をとてもだいじなもの,よっぽどのことがなければ制限できないものとしています【★2】【★3】



 着たい服を着られるということ。

 それも,自分らしく生き,自分を表現するための,とてもだいじなことです。

 特に10代は,自分探しをしながら自分を形づくっていく時期ですから,

 服装や髪型を自由に選べることは,大人と同じように重要です
【★4】


 だから,

 よっぽどのことがなければ,

 自分が好きな服を着るのを禁じられたり,

 決まった服を押しつけられたりすることは,許されません。



 つまり,

 自由に服を着られるのがあたりまえで,

 逆に,自由に服が着られないのが例外的なことです。



 なので,

 「どうしても制服を着たくない」というほどの強い気持ちでなくても,

 あなたのように「なんとなく嫌だ」という気持ちも,

 法律から見ればあたりまえのことで,大切にされなければならないのです。





 例外として,服装の自由を奪うなら,

 しっかりとしたルールが必要です。

 そして,そのルールを作るときに,

 服装の自由を奪う「よっぽどの理由」があるのかを,きちんと議論しなければいけません。




 刑務所に入っている人は,服装に自由がありません。

 それは,法律というしっかりしたルールで,きちんと決められています
【★5】

 刑務所に入っている人は,犯罪をして厳しい罰を受けている立場です。

 刑務所がそういう人たちをきちんと管理できるようにする必要がある。

 それが,服装の自由を制限する「よっぽどの理由」です。



 警察官【★6】,消防隊員【★7】,海上保安官【★8】,税関職員【★9】,入管職員【★10】,自衛官【★11】などの公務員や,

 鉄道
【★12】や警備【★13】の会社の社員も,

 法律というしっかりしたルールで,制服を着ることが決められています。

 そういう特別な仕事に就いていることが,見た目ではっきりわかるようにする必要がある。

 それが,服装の自由を制限する「よっぽどの理由」です。





 しかし,学校の生徒の制服は,法律がありません。



 日本は,子どもの権利条約という世界との約束で,

 「子どもの表現の自由を制限するときは,きちんと法律を作らないといけない」

 と確認しています
【★14】

 制服については,その法律がないのです。



 法律がないのは,服装の自由を制限しなければいけない「よっぽどの理由」じたいが,ないからです。



 制服のルールは,それぞれの学校が決めています。

 学校は,みんなが安心・安全な学校生活を送るためのルール,いわゆる「校則」を作ることができます。

 でも,学校は,何でも好き勝手に校則を作れるわけではありません。

 憲法がとてもだいじにし,法律でも奪っていない生徒の服装の自由を,

 学校生活のためという名目(めいもく)で学校が簡単に奪ってしまうことは,許されません
【★15】



 「服装の乱れは心の乱れ,制服は非行を防ぐために役に立つ」とか【★16】

 「お金持ちの家の子と経済的に苦しい家の子との差が出ないように」など
【★17】

 制服が必要だという人たちは,いろんな理由を挙げます。

 でも,そのどれも,表現の自由・服装の自由というとてもだいじなものを奪うほどの「よっぽどの理由」には,まったくなっていません。




 もちろん,学校での生徒の服装がまったく自由でいいというわけでもありません。

 大人になったとき,職場(特に人と接する仕事)や結婚式・お葬式など,その場にふさわしい服装をすることが,社会の中で暮らすうえで必要になります。

 そのことを子どものうちからきちんと教え,身につけさせるのも,学校のだいじな役割です。

 だから,勉強をする場にふさわしい服装をするように学校が生徒を指導するのは,当然のことです。



 でも,だからといって,

 「ふさわしい服装」として,みんな同じ制服を着ることまで強制するのは,明らかに度が過ぎています。

 生徒一人ひとりに自分で「ふさわしい服装」を考えさせること,

 周りの人を怖がらせるような服や,パーティーで着るようなあまりに派手な服などを着てきた生徒がいたら,

 なぜそれが「ふさわしい服装」でないのかを,一人ひとりに合わせてきちんと指導すること,

 それこそが教育だと,私は思います。

 そういう丁寧な指導をせずに,みんな同じ服を着させて解決しようとするのは,教育として手抜きですし,

 「教育」という形をとりながら,実際には子どもたちを「支配」しているのと同じです。




 公立の中学校で制服を着なければいけないのかが争われた裁判が,いくつかあります。

 それらの判決で,裁判所は,こう言っています。

  「校則は,生徒の心得(こころえ)を示したもの。

   校則に書かれている制服は,むりやり着させられるものではないし,

   着なかったからといって,不利には扱われない」
【★18~20】


 実際には,あなたが私服で登校すれば,

 それが学ぶ場にふさわしい服装なのかどうか,先生から指導されるでしょう。

 でも,あなたが「ふさわしい服装だ」と自信をもってきちんと話をすれば,

 学校はそれ以上,あなたに制服を強制することは,法律上できないのです。



 もし,あなたが私服で通学することを学校にきちんと話したのに,

 指導が長時間続いたり,何度も繰り返されたり,

 制服でなければ授業を受けさせない,修学旅行に行かせない,という不利な扱いをされたら,

 すぐに弁護士に相談してください。



 ただし,

 公立ではなく私立の学校では,

 「その学校のルールをわかったうえで,自分から希望して入学した」ということが重視されるので,

 校則で決められている制服を着なければ,

 停学や退学などの懲戒処分を受けてしまうことがありえます
【★21】

 私は,「それはおかしい。いくら私立の学校でも,まちがったルールで処分されることは許されない」と思いますが,

 私立の学校の場合,制服の自由について公立の学校よりも高いハードルがあることは,知っておいてください。





 どんな人も,一人ひとりが,大切な人間です。

 工場で作られているような,どれも同じ形をした商品ではありませんし,

 着せ替え人形でもなければ,奴隷でもありません。

 教育基本法という,教育のベースとなる法律にも,

 一人ひとりを大切にすることが,はっきり書いてあります
【★22】

 それなのに,

 体型も,服のセンスも,みんなばらばらの生徒たちが,

 まったく同じ服を着させられているのは,おかしなことなのです。




 むかしは,校則で男子が丸坊主にさせられる中学校がとても多かったのですが,

 みんなが「おかしい」と声を上げたことで,

 丸坊主にさせる学校は,とても少なくなりました
【★23】

 制服についても,同じように「おかしい」と声を上げて変えていくことが大切だと,私は思っています。

 

 

【★1】 憲法13条 「すべて国民は,個人として尊重される。生命,自由及び幸福追求に対する国民の権利については,公共の福祉に反しない限り,立法その他の国政の上で,最大の尊重を必要とする」
【★2】 憲法21条1項 「集会,結社及び言論,出版その他一切の表現の自由は,これを保障する」
 児童の権利に関する条約(子どもの権利条約)13条1項 「児童は,表現の自由についての権利を有する。この権利には,口頭,手書き若(も)しくは印刷,芸術の形態又は自ら選択する他の方法により,国境とのかかわりなく,あらゆる種類の情報及び考えを求め,受け及び伝える自由を含む。」
【★3】 「『二重の基準』,すなわち,表現の自由を中心とする精神的自由を規制する立法の合憲性は,経済的自由を規制する立法よりも,とくに厳しい基準によって審査されなければならない」(略)「経済的自由も人間の自由と生存にとってきわめて重要な人権であるが,それに関する不当な立法は,民主政の過程が正常に機能しているかぎり,議会でこれを是正(ぜせい)することが可能であり,それがまた適当でもある。これに対して,民主政の過程を支える精神的自由は『これわ易(やす)く傷つき易い』権利であり,それが不当に制限されている場合には,国民の知る権利が十全(じゅうぜん)に保障されず,民主政の過程そのものが傷つけられているために,裁判所が積極的に介入して民主政の過程の正常な運営を回復することが必要である。精神的自由を規制する立法の合憲性を裁判所が厳格に審査しなければならないというのは,その意味である」(芦部信喜「憲法 第4版」181頁)
【★4】 「少なくとも髪型や服装などの身じまいを通じて自己の個性を実現させ人格を形成する自由は,精神的に形成期にある青少年にとって成人と同じくらい重要な自由である」(芦部信喜「憲法学Ⅱ 人権総論」404頁)
【★5】 刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律186条1項 「被留置者(ひりゅうちしゃ)には,次に掲(かか)げる物品…であって,留置施設における日常生活に必要なもの…を貸与(たいよ)し,又(また)は支給する。 一 衣類及び寝具(以下略)」
 同法187条 「留置業務管理者は,被留置者が,次に掲げる物品…について自弁(じべん)のものを使用し…たい旨(むね)の申出をした場合には,留置施設の規律及び秩序の維持その他管理運営上支障を生ずるおそれがある場合,…並びに被留置受刑者について改善更生に支障を生ずるおそれがある場合を除き,内閣府令で定めるところにより,これを許すものとする。 一 衣類(以下略)」
 同法189条 「第186条…により貸与し,又は支給する物品は,被留置者の健康を保持するに足り,かつ,国民生活の実情等を勘案(かんあん)し,被留置者としての地位に照らして,適正と認められるものでなければならない」
【★6】 警察法70条 「警察職員の…服制…に関し必要な事項は,国家公安委員会規則で定める」 ※警察官の服制に関する規則(昭和31年12月19日国家公安委員会規則第4号)
【★7】 消防組織法16条2項 「消防吏員(りいん)の…服制に関する事項は,消防庁の定める基準に従(したが)い,市町村の規則で定める」 ※消防吏員服制基準(昭和42年2月3日消防庁告示第1号)
【★8】 海上保安庁法17条3項 「海上保安官の服制は,国土交通省令で定める」 ※海上保安庁職員服制(昭和37年6月8日運輸省令第31号)
【★9】 関税法105条3項 「税関職員は,第1項の規定により職務を執行するときは,財務省令で定めるところにより,制服を着用し,かつ,その身分を示す証票を携帯し,関係者の請求があるときは,これを提示しなければならない」 ※税関職員服制(昭和44年9月22日大蔵省令第50号)
【★10】 出入国管理及び難民認定法61条の5第1項 「入国審査官及び入国警備官がその職務を執行する場合においては,法令に特別の規定がある場合のほか,制服を着用し,又はその身分を示す証票を携帯しなければならない」
 同条3項 「第1項の制服及び証票の様式は,法務省令で定める」 ※入国審査官及び入国警備官服制(平成5年6月10日法務省令第26号)
【★11】 自衛隊法33条 「自衛官,自衛官候補生,予備自衛官,即応予備自衛官,予備自衛官補,学生…,生徒その他その勤務の性質上制服を必要とする隊員の服制は,防衛省令で定める」 ※自衛官服装規則(昭和32年2月6日防衛庁訓令第4号)
【★12】 鉄道営業法第22条 「旅客及(および)公衆ニ対スル職務ヲ行フ(おこなう)鉄道係員ハ一定ノ制服ヲ著スヘシ(べし)」
【★13】 警備業法16条1項 「警備業者及び警備員は,警備業務を行うに当たっては,内閣府令で定める公務員の法令に基づいて定められた制服と,色,型式又は標章により,明確に識別することができる服装を用いなければならない」
 同条2項 「警備業者は,警備業務…を行おうとする都道府県の区域を管轄する公安委員会に,当該公安委員会の管轄区域内において警備業務を行うに当たって用いようとする服装の色,型式その他内閣府令で定める事項を記載した届出書を提出しなければならない。この場合において,当該届出書には,内閣府令で定める書類を添付しなければならない」
【★14】 児童の権利に関する条約(子どもの権利条約)13条2項 「1の権利の行使については,一定の制限を課することができる。ただし,その制限は,法律によって定められ,かつ,次の目的のために必要とされるものに限る。(a)他の者の権利又は信用の尊重 (b)国の安全,公(おおやけ)の秩序又は公衆の健康若しくは道徳の保護」
【★15】 子どもの権利条約は,学校のルールが子どもたちの人間の尊厳に適合するものであることを求めています。
 児童の権利に関する条約(子どもの権利条約)28条2項 「締約国は,学校の規律が児童の人間の尊厳に適合する方法で及びこの条約に従って運用されることを確保するためのすべての適当な措置をとる」
【★16】 私服だと非行をしやすくなる,というわけではありませんし,非行をする子は,学校が制服であっても非行をします。大人でも,立派なスーツを着ていてもとんでもない犯罪をする人もいますし,一見だらしのない服や変わった服を着ていても,人格的にとても優れている人も,多くいます。非行を防ぐこと自体はだいじですが,だからといって,そのことは生徒たちの服装の自由を奪うほどの「よっぽどの理由」にはなりません。本気で非行を防ぐのなら,統一した服装で子どもたちを管理・支配するのではなく,子どもたち一人ひとりを大切な存在として扱うこと,家や学校や地域に子どもたちの居場所があるかを注意深く見守ることのほうが必要です。
【★17】 実際には,決まった業者から高い制服を買わなければならないので,経済的に苦しい家にとっては制服のほうが負担になっています。服はお金をかけさえすれば良いというものではなく,限られた条件の中で工夫する大切さを教えることが,大人が負っている役割です。
【★18】 京都地裁昭和61年7月10日判決(判例地方自治31号50頁) 「同校の標準服の定めは厳格にそのまま実施しているわけではなく,事案ごとに弾力的に運用されていること,原告もその好みによって標準服を一部分変更して,スカート丈をやや短くし,スカートのギャザーを長くし,上衣のボタンの位置をやや変え,スカートの腰に小さいハートの印をつけたものを着用しているが,被告はこの程度の変更には問題がないと考え,原告に対して何の措置もとっていないこと,被告は標準服を着用せずに私服で登校する生徒に対しては指導をして,それを改めるように説得することにしていること,しかし,被告の同校を始め,京都市立の中学校において標準服を着用しないことを理由に,生徒に対して懲戒処分(学校教育法11条)を行った例はないし,進学や卒業を拒否した例もないことが認められる。…本件において,原告は自分の好みによって変更を加えた標準服を着用し,被告も右衣服を何ら問題とはしていないところ,衣服着用の性質からすると,原告が他の衣類ではなく,右の自己の好みにより変更を加えた標準服を着用することが,重大な損害を被(こうむ)ることにつながるとはいえない。そのうえ,京都市立の中学校では標準服不着用を理由として懲戒処分をしたり,進級卒業を拒否した例はないというのであるから,標準服を着用しないことによる不利益処分の確実性は極めて低いというべきである。これらの点を考慮すると,原告の主張する標準服着用義務については,事前の救済を認めないことを著しく不相当とする特段の事情があるとは,本件全証拠によっても認めることができない。そうすると,原告は,標準服を着用しなくともよいことの確認を認める法律上の利益を有しないから,右部分の本件訴えは不適法なものというべきである」
【★19】 東京高裁平成元年7月19日判決(判例時報1331号61頁) 「学校長が,教育目的を達成するための一助として右のような未成熟な中学校在学の生徒のために,その広い裁量のもとに,教育的観点からする教育上ないしは指導上の指針あるいはあるべき行動の基準等について生徒心得等を定めてこれを明らかにすることは,それが社会の通念に照らして著しく合理性を欠くなど不適当,不適正なものでない限り,何ら違法ではなく,また,不当なことでもない。このことは,それが,生徒の着用するいわゆる制服についての場合であっても同様である。これを本件についてみるに,…大原中校長の定めた生徒心得における制服の指定は,生徒の教育上遵守することが望ましい項目について生徒指導ないしは学習指導のための教育活動の一環として,いわばその努力目標を提示する趣旨のもとに,社会的合理性のある範囲内で定められており,その具体的な運用に当たっても,父母や生徒の意見をも十分に取り入れるよう配慮し,仮に制服を着用しない生徒があっても,これを着用することが望ましい旨指導することはあるが,制裁的な措置をとるようなことはなされていないこと,この状況は,右の,生徒心得が定められた昭和51年以後一貫して今日に至っており,通学区域内の同中学校の生徒の父母である付近の住民からの格別の苦情もなく経過してきていること,そして同中学校の在学生は前記のAをも含めて,全員が制服を着用して学校生活を平穏(へいおん)に営みつつ入学,卒業に至っていることが認められ(る)…。以上に認定の事実関係によれば,大原中の生徒心得における制服についての定めの内容は,中学校に在学すべき生徒に対する教育上の配慮に沿うものとして,社会通念に照らし合理的であるというべく,教育的見地からする学校長の裁量を超えるものではないし,あるいはまたその裁量の範囲を逸脱(いつだつ)する類のものでもないことが明らかである。更に右定めに関する運用の実態をみても規制的,強制的,拘束的色彩の薄いものであるということができる。しかも,A本人もその母も制服の着用を望んでおり,控訴人〔注:Aの父〕もその希望をいれて,同中学校の制服を注文購入したのであるから,控訴人の内心に不本意な点があったかどうかは別として,学校当局の強制で制服を購入させられたとか,校長から購入を強いられたとか,校長がAの制服着用を控訴人に強制したものとはいえない」
【★20】 最高裁第一小法廷平成8年2月22日判決(判例時報1560号72頁) 「本件の『中学校生徒心得』は,『次にかかげる心得は,大切にして守ろう。』などの前文に続けて諸規定を掲げているものであり,その中に,『男子の制服は,次のとおりとする。(別図参照)』とした上で,…校外生活に関して,『外出のときは,制服又は体操服を着用し(公共施設又は大型店舗等を除く校区内は私服でもよい。),行き先・目的・時間等を保護者に告げてから外出し,帰宅したら保護者に報告する。』との定めが置かれているが,これに違反した場合の処分等の定めは置かれていないというのである。右事実関係の下において,これらの定めは,生徒の守るべき一般的な心得を示すにとどまり,それ以上に,個々の生徒に対する具体的な権利義務を形成するなどの法的効果を生ずるものではないとした原審の判断は,首肯(しゅこう)するに足りる」
【★21】 最高裁第一小法廷平成8年7月18日判決(判例時報1599号53頁,修徳高校パーマ退学事件) 「憲法上のいわゆる自由権的基本権の保障規定は,国又は公共団体と個人との関係を規律するものであって,私人相互間の関係について当然に適用ないし類推適用されるものではないことは,当裁判所の判例…の示すところである。したがって,私立学校である修徳高校の本件校則について,それが直接憲法の右基本的保障規定に違反するかどうかを論ずる余地はない。…私立学校は,建学の精神に基づく独自の伝統ないし校風と教育方針によって教育活動を行うことを目的とし,生徒もそのような教育を受けることを希望して入学するものである。原審の適法に確定した事実によれば,(一)修徳高校は,清潔かつ質素で流行を追うことなく華美に流されない態度を保持することを教育方針とし,それを具体化するものの一つとして校則を定めている,…(三)同様に,パーマをかけることを禁止しているのも,高校生にふさわしい髪型を維持し,非行を防止するためである,というのであるから,本件校則は社会通念上不合理なものとはいえず,生徒に対してその遵守を求める本件校則は,民法1条,90条に違反するものではない」
【★22】 教育基本法2条 「教育は,その目的を実現するため,学問の自由を尊重しつつ,次に掲(かか)げる目標を達成するよう行われるものとする。 … 二 個人の価値を尊重して,…自主及(およ)び自律(じりつ)の精神を養(やしな)う…」
【★23】 「服装や身だしなみに関して,生徒に基本的人権(自己決定権)がある以上,『社会通念上の合理性』を欠き,不当に人権を制限する規定は不適切であるといわなければなりません。…『丸刈り校則』は,現在の社会通念において,中学生や高校生男子にとって,もはや合理性のある規定とは言え(ません)…。なお,昭和40年代に全国の3割程度の中学校で定められていた『丸刈り校則』は,平成22年現在では,南九州地方の30~40校に残る程度のようです(残った丸刈り校則も廃止されるべきであると考えます)」(第一東京弁護士会少年法委員会「子どものための法律相談」44頁)  

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