児童養護施設にイヤな職員がいる
高校1年生です。児童養護施設で暮らしてます。同じユニットで暮らす小さな子どもたちが騒がしいけど,それはなんとか我慢してます。でも,最近新しく入った職員の一人が,上から目線で指示してきたり,他の職員がOKしてくれてることをその職員は禁止してきたり,子どもによって態度を変えたりしてくるので,その職員が担当の日は施設に帰りたくないです。他の職員に相談してもまともに聞いてもらえないし,どうすればいいですか。
夜や休日をゆっくり過ごすための施設で,
職員や他の子どもたちのせいで,落ち着かない気持ちになるのは,
とてもつらいことですよね。
児童養護施設は,親がいない子どもや,親の虐待から保護された子どもなど,
いろんな子どもたちが,安心・安全な暮らしを送るための施設です【★1】。
施設の職員が,子どもたちの生活を,一生懸命支えてくれています。
ところが,
安心・安全な暮らしを送れるはずの施設で,
職員が子どもたちに虐待するという,とてもひどい事件が,
これまで,いくつも起きていました【★2】。
そのため,2008年(平成20年)には,
「施設で虐待をしてはいけない」という,当たり前のことが,
わざわざ法律に書き加えられました【★3】。
もし,職員から,
暴力を受けたり,
性的な被害を受けたり,
食事を抜きにされたり,
ひどく傷つくことを言われたりしたら,
すぐに,信頼できる大人に相談してください【★4】。
話を聞いた大人は,都道府県の役所に知らせなければいけないことになっています【★5】。
そして,都道府県の役所は,きちんと調べて,
その職員や施設を注意したり,子どもを安全なところに移したりしてくれます【★6】。
このように書くと,
「私のは虐待というほどのことじゃないから,そこまでおおごとにしなくていい」,
そう思うかもしれません。
でも,上に書いたように,
施設は,子どもたちが安心・安全な暮らしを送るための場所です。
そのはずの施設で,
虐待というほどひどいことがなくても,
あなたが今,「施設に帰りたくない」と感じているのなら,
一人ぼっちでガマンすることなく,ぜひ,その気持ちを声にしてください【★7】。
施設の中で,あなたの他にも,同じ思いをしている人はいませんか。
そういう仲間といっしょに,声を上げてみましょう。
施設には,「中高生会」という集まり(自治会)があるところも多いですし,
中高生会がなければ,自分からみんなに声をかけて,作ってもかまいません【★8】。
その仲間たちといっしょに,施設と話し合いをするのです。
お互いの力に差があるとき,一人ひとりの声が小さくても,みんなでまとまれば,大きな力と対等に話し合うことができます。
たとえば,大人の社会でも,
「職場」対「働く人」という力の差がある場面では,
働く人たちが集まって「労働組合」を作り,職場と話し合いをする,というしくみがあります【★9】。
同じように,「大人」対「子ども」という力の差があるときも,
みんなでいっしょになって話をすれば,ものごとが良い方向に変わることがあります。
いっしょに声を上げる仲間がいなければ,
いろんな大人を巻き込みましょう。
施設には,「第三者委員」という人がいることが多いです【★10】。
第三者委員は,施設の職員ではなく,あくまで,施設の外の人です。
そして,子どもたちの施設での暮らしの悩みや不満などの相談に乗り,
実際に,職員とのトラブルを調整しています。
私も,ある児童養護施設で,第三者委員として,子どもたちの相談に乗っています。
あなたも,自分の施設の第三者委員に,相談してみてください。
また,あなたの施設が東京にあるなら,
東京都の「子供の権利擁護専門相談員」に相談する,という方法もあります【★11】。
電話番号は 0120-874-374 です。
施設から配られた「子どもの権利ノート」を,今も持っていますか。
そのノートの中に,相談員に送れるハガキが入っていますので,
それを使って連絡をしてもOKです。
あなたの地域の弁護士に相談する,という方法もあります。
「法律のトラブルじゃないのに,弁護士に相談してもいいのかな」と心配しなくてもかまいません。
弁護士は,
「どんなことがあったのか」というできごとを整理すること,
「本人がどうしたいのか」という気持ちを整理すること,
そして,できごとやあなたの気持ちを,ほかの人たちに伝え,話し合うこと,
それらを得意とする仕事です。
法律のトラブルでないからと遠慮せずに,相談してみてください。
相談先は,「弁護士に相談するには」の記事を見てください。
児童養護施設は,親がいない子どもたちや,親の虐待から保護された子どもたちが暮らす場所として,とても大切な役割を果たしています。
でも,
大人の職員は交代制で,職員によって子どもたちに対する態度がちがうことがありますし,
同じユニットで暮らす子どもたちも,
小学校に入る前の小さな子どもから,10代後半までと,年齢がバラバラで【★12】,
メンバーも入れ替わりがあります。
しかも,一つのユニットに5,6人もの子どもたちがいるのに,時間帯によっては職員が1人しかいないので【★13】,
大人にゆっくり向き合ってもらうことも難しいですよね。
2009年(平成21年),世界の国々は,
「子どもたちが,『家庭』での暮らしを送れるようにしよう」,
と確認し合いました。
親元で暮らせない子どもに,
施設での,メンバーが入れ替わる落ち着かない暮らしよりも,
里親のような,安定してずっと続く,家庭的な暮らしのほうを送れるように,
大人たちみんなで努力していこう。
そう確認したのです【★14】。
そして,この日本でも,去年(2016年(平成28年)),
「できるだけ施設よりも家庭的な暮らしが送れるようにしよう」
と,法律に書き加えられました【★15】。
今,日本では約4万5000人の子どもたちが,親と暮らせず,
児童福祉のしくみの中で暮らしています(「社会的養護」と言います)。
そのうち,里親やグループホームで,家庭的な暮らしを送ることができているのは,たった約6000人しかいません【★16】。
ほとんどの子どもたちが,あなたと同じように,施設の中で暮らしています。
今,施設にいる子どもたちに,つらい思いをさせないこと。
それだけでなく,
これから先,里親を引き受ける人たちが,もっとたくさん増えて,
どんな子どもも,同じメンバーの「家族」の中で,落ち着いた暮らしをずっと送ることができる,
そういう社会にしていくこと。
それらが,私たち大人が負っている,だいじな義務です【★17】。
【★1】 児童福祉法41条 「児童養護施設は,保護者のない児童(乳児を除く。ただし,安定した生活環境の確保その他の理由により特に必要のある場合には,乳児を含む。以下この条において同じ。),虐待されている児童その他環境上養護を要する児童を入所させて,これを養護し,あわせて退所した者に対する相談その他の自立のための援助を行うことを目的とする施設とする」
【★2】 最も有名な事件は,千葉県の「恩寵園(おんちょうえん)」で起きた事件です。「養護施設の児童虐待―たちあがった子どもたち」(恩寵園の子どもたちを支える会編,明石書店)に詳しく経過が書かれています。
千葉地裁平成19年12月20日損害賠償訴訟事件判決(以下,裁判所の事実認定)
「〔児童〕が廊下を走った等の理由から,〔児童〕を…麻袋に入れ,その麻袋を,園庭の木や,…小学校のフェンスに面した外柵周辺につるしたことが複数回あった」
「〔児童〕の幼児期から小学校低学年ころまでの間,〔児童〕を乾燥機部屋に入れ,電気を点けずに出入口のドアを閉め,外から上記ドアをどんどんと叩き,〔児童〕が『出して,出して。』等と言って泣き叫んだにもかかわらず,〔児童〕が失神しそうに感じるまで,上記行為を止めなかった」
「〔児童〕に対し,正座をするよう指示し,数時間その指示を解かず,その間,食事の時間が来ても,食事をすることを許さなかった」
「(施設長は児童の)着衣の袖を刃物で切った。〔児童〕は,〔施設長〕が袖を切り出したため,あわてて…着衣を脱いで〔施設長〕に渡し,上半身は下着だけ着けた状態で自己の居室まで戻ったが…着衣はその後着用できないものとなった」
「(施設長が)『お前は乞食(こじき)か。』等と言って,その着衣を取り上げたうえ,他の服も没収した。そのため,〔児童〕はその日学校に行くことができず,その日の夕方,保母によって服が〔児童〕の下に戻されるまでの間,下着のみを着けた状態で過ごすこととなった」
「(児童が)通知表を見せる際,方向等を間違えて〔施設長〕に差し出したところ,〔施設長〕は,〔児童〕の通知表を取り,床に放ったことがあった」
「(児童が)通知表を〔施設長〕に見せた際,成績が悪いとの理由で,〔児童〕の頭にそろばんを押しつけ,そろばんの珠を数回こすりつけたことがあり,また同じ理由で長時間〔児童〕を立たせておくこともあった」
「〔施設長〕は,…食後,〔児童〕の班のテーブルクロスを拭かなかったことを理由に,…テーブルクロスを取り上げ,〔児童〕を含むその班の園児らに,その次の食事を取らせなかった」
「〔施設長〕は,〔児童〕の小学校時代を通じ,…たびたび〔児童〕を,保母室の前の廊下等,園内の床に正座させ…約24時間その(正座の)指示を解かず,その間,…食事を取ることもトイレに行くことも許さなかった。…正座をしている最中,…園児らのうちの1人が,トイレに行かせてほしいと〔施設長〕に頼んだにもかかわらず,〔施設長〕は,これを許さず,その場でするよう言い,上記園児はその場で失禁した。」
「〔施設長〕は,…〔児童〕が,プロミスリング(糸を編んで作った腕輪ようのもの)を足に着けていたことに立腹し,…他の園児らの見ている前で,〔児童〕の体を,足が机の上に,頭が机の下になるように,机に載せ,…包丁を〔児童〕の足に押しつけ,出血させた」
「〔児童〕が小学校5,6年生だったころ…,〔施設長〕によって,性器にはさみを当てられた男児が,叫び声を上げたため,その叫び声を聞いた〔児童〕及び別の園児(男子)が,声を上げたところ,〔施設長〕は,〔児童〕及び上記別の園児に対し,お前達もだ等と言い,〔児童〕を横たえ,その腹部ないし胸部に乗ると,〔児童〕の性器にはさみを当てた」
「〔児童〕が,…チャボの死骸を焼却するために,焼却炉へ持って行ったところ,〔施設長〕は,〔児童〕に対し,『お前も一緒に(焼却炉に)入れ。』などと言った」
「〔施設長〕は,…3月ころ…,〔児童〕及び他の数名の園児らが…遊んでいたことに立腹し,寒い時期であったにもかかわらず,…裸のまま1時間以上園庭に立たせた。その間,〔児童〕と並んで立っていた他の園児が,尿意を催(もよお)し,〔施設長〕にそれを訴えたところ,〔施設長〕が,同園児に対し,『そこでしろ。』と言ったため,同園児はやむを得ずその場で排尿し(た)」
「〔施設長〕は,〔児童〕が中学校1年生の前半ころ…あざができるほど,竹刀や木の棒状のもので,〔児童〕の体部を殴ったり,〔児童〕の頭等を,手の甲で殴ったり…したことが複数回あった」
「〔施設長〕は…まだ燃えている…マッチの上に〔児童〕の左手の平を押し付け,やけどを負わせた」
「〔施設長〕は,…〔児童〕に対し,廊下あるいは保母室で正座するよう指示し,その指示を約1週間解かず,その間,食事をすることも,横になって寝ることも許さなかった」
「〔施設長〕は,〔児童〕の下顎部を,ボール紙でできた調理用ラップの芯で2回ないし3回つき,現在でも傷跡が残るほどの傷害を負わせた」
「〔施設長〕は,…〔児童〕の両腕を真横に上げさせたうえで,竹刀を両袖に通し,その姿勢のまま〔児童〕に立っているよう指示した」
「〔施設長〕は,…寒い季節に〔児童〕を裸の状態で戸外に立たせ,水をかけた」
「〔施設長〕は,…〔児童〕の体部を,しばしば金属バットで叩いた」
「〔施設長〕は,…〔児童〕をトイレに行かせなかったことがあった」
恩寵園事件は,刑事事件にもなりました。当時の職員が強姦罪と強制わいせつ罪で懲役4年の実刑判決,施設長が傷害罪で懲役8ヶ月の実刑判決を,それぞれ受けています(読売新聞2000年10月25日,朝日新聞2001年7月27日)。
【★3】 児童福祉法33条の10 「この法律で,被措置(ひそち)児童等虐待とは,…里親若(も)しくはその同居人,乳児院,児童養護施設,…(以下「施設職員等」と総称する。)が,委託された児童,入所する児童…(以下「被措置児童等」という。)について行う次に掲(かか)げる行為(こうい)をいう。
一 被措置児童等の身体に外傷が生じ,又(また)は生じるおそれのある暴行を加えること。
二 被措置児童等にわいせつな行為をすること又は被措置児童等をしてわいせつな行為をさせること。
三 被措置児童等の心身の正常な発達を妨(さまた)げるような著(いちじる)しい減食又は長時間の放置,同居人若しくは生活を共にする他の児童による前二号又は次号に掲げる行為の放置その他の施設職員等としての養育又は業務を著しく怠(おこた)ること。
四 被措置児童等に対する著しい暴言又は著しく拒絶的な対応その他の被措置児童等に著しい心理的外傷を与える言動を行うこと。」
同法33条の11 「施設職員等は,被措置児童等虐待その他被措置児童等の心身に有害な影響を及ぼす行為をしてはならない」
【★4】 児童福祉法33条の12第3項 「被措置児童等は,被措置児童等虐待を受けたときは,その旨(むね)を児童相談所,都道府県の行政機関又は都道府県児童福祉審議会に届け出ることができる」
【★5】 児童福祉法33条の12第1項 「被措置児童等虐待を受けたと思われる児童を発見した者は,速やかに,これを…都道府県の設置する福祉事務所,児童相談所,都道府県の行政機関,都道府県児童福祉審議会若(も)しくは市町村に通告しなければならない」
【★6】 児童福祉法33条14第1項 「都道府県は,…速やかに,当該(とうがい)被措置児童等の状況の把握その他…事実について確認するための措置を講ずるものとする」
同条2項 「都道府県は,前項に規定する措置を講じた場合において,必要があると認めるときは,…当該通告,届出,通知又は相談に係る被措置児童等に対する被措置児童等虐待の防止並びに当該被措置児童等及び当該被措置児童等と生活を共にする他の被措置児童等の保護を図るため,適切な措置を講ずるものとする」
【★7】 子どもの権利条約(児童の権利に関する条約)12条1項 「締約国(ていやくこく)は,自己の意見を形成する能力のある児童がその児童に影響を及ぼすすべての事項(じこう)について自由に自己の意見を表明する権利を確保する。この場合において,児童の意見は,その児童の年齢及び成熟度に従って相応に考慮されるものとする」
【★8】 憲法21条1項 「集会,結社及び言論,出版その他一切の表現の自由は,これを保障する」
子どもの権利条約(児童の権利に関する条約)15条1項 「締約国(ていやくこく)は,結社の自由及び平和的な集会の自由についての児童の権利を認める」
【★9】 憲法28条 「勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は,これを保障する」
労働組合法2条 「この法律で『労働組合』とは,労働者が主体となって自主的に労働条件の維持改善その他経済的地位の向上を図ることを主たる目的として組織する団体又はその連合団体をいう。(以下略)」
同法6条 「労働組合の代表者又は労働組合の委任を受けた者は,労働組合又は組合員のために使用者又はその団体と労働協約の締結(ていけつ)その他の事項(じこう)に関して交渉する権限を有(ゆう)する」
同法7条 「使用者は,次の各号に掲(かか)げる行為をしてはならない。(略) 二 使用者が雇用(こよう)する労働者の代表者と団体交渉をすることを正当な理由がなくて拒(こば)むこと」
【★10】 社会福祉法82条 「社会福祉事業の経営者は,常に,その提供する福祉サービスについて,利用者等からの苦情の適切な解決に努めなければならない」
厚生省大臣官房障害保健福祉部長,厚生省社会・援護局長,厚生省老人保健福祉局長,厚生省児童家庭局長平成12年6月7日「社会福祉事業の経営者による福祉サービスに関する苦情解決の仕組みの指針について」(障第452号,社援第1352号,老発第514号,児発第575号)「2 苦情解決体制」「(3)第三者委員 苦情解決に社会性や客観性を確保し,利用者の立場や特性に配慮した適切な対応を推進するため,第三者委員を設置する」,「3 苦情解決の手順」「(2)苦情の受付 …第三者委員も直接苦情を受け付けることができる」「(4)苦情解決に向けての話合い …第三者委員の立会いによる苦情申出人と苦情解決責任者の話合いは,次により行う。 ア 第三者委員による苦情内容の確認 イ 第三者委員による解決案の調整,助言 ウ 話し合いの結果や海善寺高等の書面での記録と確認」
【★11】 東京都・子供の権利擁護専門相談事業(http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/jicen/annai/keriyougo.html)
「平成19年度~平成21年度東京都子供の権利擁護専門相談事業活動報告書」(http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/jicen/annai/keriyougo.files/houkokusyo.pdf)「権利ノートと一緒に『子供の権利擁護専門員会議』あての相談のはがきも配布し,子供が直接悩みなどの相談ができるようなっています。このはがきについては,児童福祉施設の場合,施設内の掲示板等の近くなどにも置かれ,子供たちが自由に使用し,投函(とうかん)できるよう配慮されています。はがきが届いた場合は,専門員が施設を訪問し,子供から直接話を聞き問題解決に向けて子供や施設に対し助言します。また,相談内容によっては,児童相談所の担当児童福祉司と協議し,専門員と児童福祉司と協働して対応する場合もあります。なお,相談内容が施設内虐待ではないかと疑われる場合は、福祉保健局少子社会対策部計画課権利擁護担当と協議の上,対応しています」
【★12】 児童養護施設に入所できるのは,原則18歳未満ですが,自立の観点から必要と認められる場合には,20歳に達するまで入所できます。
児童福祉法31条2項 「都道府県は,第27条第1項第3号の規定により…児童養護施設…に入所した児童については満20歳に達するまで,引き続き同項第3号の規定による委託を継続し,若(も)しくはその者をこれらの児童福祉施設に在所させ,又はこれらの措置を相互に変更する措置を採ることができる」
【★13】 児童福祉施設の設備及び運営に関する基準42条6項 「児童指導員及び保育士の総数は,通じて,…満3歳以上の幼児おおむね4人につき1人以上,少年おおむね5.5人につき1人以上とする。…」
【★14】 2009年12月18日国連総会採択決議「64/142. 児童の代替的養護に関する指針」(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/syakaiteki_yougo/dl/yougo_genjou_16.pdf)
「2.…(a) 児童が家族の養護を受け続けられるようにするための活動,又は児童を家族の養護のもとに戻すための活動を支援し,それに失敗した場合は,養子縁組やイスラム法におけるカファーラなどの適当な永続的解決策を探ること。(b) かかる永続的解決策を模索する過程で,又はかかる永続的解決策が実現不能であり若しくは児童の最善の利益に沿っていない場合,児童の完全かつ調和のとれた発育を促進するという条件の下,最も適切な形式の代替的養護を特定し提供するよう保障すること。…」
「12. 非公式の養護を含め,代替的養護を受けている児童に関する決定は,安定した家庭を児童に保障すること,及び養護者に対する安全かつ継続的な愛着心という児童の基本的なニーズを満たすことの重要性を十分に尊重すべきであり,一般的に永続性が主要な目標となる」
【★15】 平成28年改正児童福祉法3条の2 「国及び地方公共団体は,児童が家庭において心身ともに健やかに養育されるよう,児童の保護者を支援しなければならない。ただし,児童及びその保護者の心身の状況,これらの者の置かれている環境その他の状況を勘案(かんあん)し,児童を家庭において養育することが困難であり又は適当でない場合にあっては児童が家庭における養育環境と同様の養育環境において継続的に養育されるよう,児童を家庭及び当該養育環境において養育することが適当でない場合にあっては児童ができる限り良好な家庭的環境において養育されるよう,必要な措置を講じなければならない」
【★16】 厚生労働省「社会的養護の現状について(参考資料) 平成29年3月」(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/0000154060.pdf) 里親委託児童4973人,ファミリーホーム(養育者の住居において家庭養護を行う(定員5~6名))1261人の合計6234人に対し,乳児院2901人,児童養護施設2万7288人,情緒障害児短期治療施設1264人,児童自立支援施設1395人,母子生活支援施設5479人,自立援助ホーム516人の合計は3万8843人です。
【★17】 2009年12月18日国連総会採択決議「64/142. 児童の代替的養護に関する指針」
「23. 施設養護と家庭を基本とする養護とが相互に補完しつつ児童のニーズを満たしていることを認識しつつも,大規模な施設養護が残存する現状において,かかる施設の進歩的な廃止を視野に入れた,明確な目標及び目的を持つ全体的な脱施設化方針に照らした上で,代替策は発展すべきである。…」
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