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2015年5月

2015年5月 1日 (金)

「そのサークルは宗教だからダメ」と親が言ってくる

 

 社会のために活動しているサークルがあって,みんなとても優しいし,充実しているので,続けたいと思ってます。でも,最近,親が,「それは宗教だからやめなさい」と反対するようになって,こまってます。そのサークルは宗教じゃないし,もし宗教だとしても親が反対するのはおかしいと思うんですが,法律ではどうなってるんですか。

 

 社会のために活動する団体は,

 宗教と無関係であることも多いですが,

 宗教がベースになっている団体もあります。



 どの宗教も,人々のため,社会のために,とてもだいじな役割を果たしています。

 だから,宗教がベースとなっている団体が,社会のために活動するのは,

 当然のことですし,素晴らしいことです。



 ところが,

 
ほんとうは宗教なのに,そのことを隠して人を誘っている,

 そういうケースが,実際にあります


 社会活動であったり,占いや人生相談であったり,何かの学習会であったりと,

 宗教を隠して表面上をとりつくろうのには,さまざまなパターンがあります
【★1】


 やましいところや,うしろめたいところがない,

 ほんとうに,人のため,社会のためになる,きちんとした宗教なら,

 宗教だということを隠す必要は,まったくないはずです。

 宗教であることを隠して,だますようにして人を誘うのは,あってはならないことです。


 未成年のときに,宗教であることを隠して誘われたのが,裁判になったケースもあります。

 裁判所は,「そういう誘い方は違法だ」と,はっきり言っています
【★2】


 社会活動をしている団体が,

 ほんとうに宗教と関係がないのか,宗教がベースになっているのか,

 それを見分けるのは,大人でも,難しいときがあります。

 ましてや,まだ社会の複雑さを学んでいる途中の子どものときには,

 それを見分けるのは,大人よりもいっそう,難しいことです。



 あなたの親はそのサークルが宗教だと言っている,ということですが,

 実際には,宗教でなくても,

 「社会のためにがんばりたい」というまじめな人を,自分たちの都合のよいように利用しようとする,

 そういう悪質で危険な団体があるのも,また事実です
【★3】


 あなたが続けたいと思っているそのサークルは,

 メンバーそれぞれが持っている,いろんな価値観や意見を,

 お互(たが)いにきちんと尊重し合うことが,できていますか。

 一人ひとりが自分の頭で考え,みんなでしっかり議論しながら,活動できていますか。

 誰かの指示や命令に,みんながただ従(したが)うだけになっていませんか。

 そのサークル活動以外の,あなたの生活や人生を,メンバーがきちんと尊重してくれていますか。

 あなたの時間を,そのサークルにもっと注ぐようにと,言われていませんか。

 入る・入らない,やめる・やめないを,それぞれが自由に決められますか。



 そのサークルが宗教かどうかということだけでなく,上に書いたようなことも含めて,

 ぜひ,親とよく話し合ってみてください。





 もし,そのサークルが,宗教だと明らかにして活動しているとしたら,どうでしょう。




 どんな人にも,宗教を信じる自由があります
【★4】【★5】

 それは,子どもであっても,同じです
【★6】


 宗教は,

 「自然や人間を超えた存在がある」と信じ,

 それを,おそれ,うやまい,拝(おが)み,祈(いの)るものです
【★7】


 そして,宗教は,「私たちがどうやって生きていくべきか」を示してくれます。

 特に,世の中の理不尽(りふじん)なことで,苦しい思いを抱えている人にとって,

 宗教を信じることは,心が落ち着き,より良く生きていくことにつながる,ということも,多いでしょう。

 宗教は,それを信じる人のことだけでなく,その周りの人々のことや,世の中の平和も,真剣に考えています。



 宗教は,苦しい人々の支えになり,社会のために動くので,

 政治の権力を持っている人から見ると,

 「宗教のせいで,世の中が自分の思い通りにいかなくなる」,

 そう思われがちです。

 そのため,権力を持っている人や政府などが,自分たちに都合の悪い宗教を迫害(はくがい)してしまう,ということが,

 長い人類の歴史の中では,何度も繰り返されてきました。

 「宗教を信じる自由」は,そういう歴史の反省から,法律で守られるようになったのです。



 ところが,中には,

 お金もうけのことしか考えていない宗教や,

 信者を家族や社会から切り離してしまい,人々を苦しめる宗教が,

 残念ながら,あります。

 さらには,人を殺したり,この社会を壊そうとしたりする宗教まであります。



 みなさんが生まれる前,今から20年前の1995年(平成7年)には,

 「オウム真理教」という宗教が,

 自分たちにとって都合が悪いと考える人を拉致(らち)して殺したり
【★8】

 東京の地下鉄に猛毒をまいて多くの人を殺すという事件まで起きたのです
【★9】【★10】

 その宗教には,多くの若い人たちが,信者として集まっていました。



 子どもにも宗教を信じる自由はありますが,

 きちんとした宗教なのかどうかを,子どもが自分でみきわめるのは,難しいことです
【★11】【★12】

 だから,
日本を含む世界中の国々は,子どもの権利条約というルールで,

 「子どもにも宗教を信じる自由がある」としながらも,

 「年齢や判断する力に応じて,親が子どもを見守ろう」と言っています
【★13】

 親は,あなたの居場所や財産はもちろん,あなたの人生そのものを,きちんと守る立場にあるのです
【★14】【★15】



 あなたのそのサークルは,みんな優しいし,充実している,ということでしたね。


 そのサークル以外の場所は,どうでしょうか。

 「家,学校,地域の人たちが,あなたにとって優しいとは思えない。」

 「家,学校,地域では,充実した気持ちになれない。」

 そういうことはありませんか。



 そのさみしさを,「自然や人間を超えた存在を,おそれ,うやまい,拝み,祈る」ことで乗り越えようとする前に,

 家,学校,地域の問題それ自体を解決できないか,親などの大人たちとよく話し合ってみてください。

 条約という世界のルールが,「子どもにも宗教を信じる自由があるけれど,親が子どもをきちんと見守る立場にある」と言っているのは,そういうことです。



 あなたが,親などの大人たちとよく話し合ったうえで,

 それでもやはり,「宗教を心のよりどころにして,これからの人生を生きていくこと」を選ぶ,ということも,あるかもしれません。

 そのときでも,

 この世の中にさまざまな宗教があることを理解し
【★16】

 それぞれが信じる宗教を,お互いに尊重し合い,

 宗教を信じない人のことも,きちんと尊重すること,

 それらが,法律が守っている「宗教を信じる自由」の土台にあるということを,

 ぜひ忘れないでいて欲しいと思います。

 

【★1】 札幌地方裁判所平成13年6月29日判決(判例タイムズ1121号202頁) 「その勧誘等の手段方法について指摘すべき特徴的なことは,第一に,その勧誘等の方法が,長年の組織的勧誘等の経験に基づいた手法に基づき,組織的体系的目的的に行われているという点である。すなわち,毎月の動員,献金,販売等の目標を定め,その達成のため,宗教教義の勧誘であることを厳(げん)に秘匿(ひとく)して行う友人からの電話のほか,街頭アンケートや各戸訪問における手相,占い,姓名判断などでの反応を契機(けいき)として,人生相談や各種占い,あるいは生涯学習,カルチャーセンターの名のもとに,被告…の教義を伝道する目的で設置されたと認めるべきビデオセンターへと言葉巧(たく)みに導き,そこにおいても宗教教義の伝道活動であることを悟(さと)られないように各種教養・娯楽ビデオを混入させつつ,被告…の教義に関心を持たせるように,また,その教義を正当として受け容れやすいような被告…の教義に関するビデオを視聴させたうえで,さらなる学習意欲や好奇心をかきたてる。そして,いずれも周到(しゅうとう)な準備と計画の下に企画されたプログラムである,未婚者については,余人(よじん)を排(はい)した合宿等の形式によるツーデイズ,ライフトレーニング,フォーデイズからさらに新生トレーニング,実践(じっせん)トレーニングを経て実践活動へと,既婚者については,同様に初級,中級,上級コースから実践活動へと,言葉巧みに導き,この間,善良にして親切で明朗(めいろう)な〔メンバー〕による親身の指導と激励や賞賛の中で高揚感溢(あふ)れる連帯意識を醸成(じょうせい)して心情的帰属意識を植え付ける一方,過程ごとに受講者の感想を集約してその教義の浸透(しんとう)度を確認把握する中で,その悩みや弱点,本人や家族先祖の病歴や不幸な歴史,さらには心情解放展と称して本人が過去に抱いた罪障感(ざいしょうかん)を巧みに告白させ,探索(たんさく)したうえ,被告…の教義とは直接の関連のない手相,姓名判断や家系図等を用いた根拠も疑わしい因縁話などにより,その心理的弱みを巧妙に突いてその不安を煽(あお)るなどして畏怖困惑(いふこんわく)させ,宗教的救いを希求(ききゅう)する心情をかきたてて,被告…の教義の学習の浸透を図ってきた。また,これらの過程で,相手方の信頼ないし無防備に乗じ,様々な機会を利用してその資産や収入を把握しつつ,財産などの経済的物質的利益に執着する卑しさを強調して,陰に陽に献金の慫慂(しょうよう)をし,あるいは物品の販売をしてきた。このように,被告…の〔メンバー〕による被告…への勧誘等の方法は,個々の勧誘等の行為それ自体を個別的外形的に観察する限りは,詐欺的強迫的手法を用いていることが明らかなものを除いては,本人も承諾納得の上での任意の選択を求めるものであって,それ自体の違法性を論ずることができないようにも見えるが,その勧誘方法が信者獲得という一定の目的のもとに,あらかじめ周到に準備された組織的体系的目的的なプログラムに基づいて行われているという前記のような事情に照らせば,その勧誘等の手段方法の違法性を判断するに当たっては,その個々の勧誘等の手段方法の違法性だけを論ずれば足りるものではなく,その勧誘方法全体を一体のものとして観察し,その一部分を構成する行為としての位置付けの中でその部分の違法性を判断することが必要であるというべきである。
 第二の特徴は,被告…の〔メンバー〕は,上記のように組織的体系的目的的に宗教団体である被告…への加入を勧誘等するに当たり,当初はこの点を厳に秘しているという点である。…被告…への勧誘の初期段階においては,宗教団体の活動であることはもとより,宗教に関する勧誘であることさえ秘匿するばかりか,特定の宗教教義に関する伝道ではないか,あるいはまた,宗教そのものの宣伝ではないかと尋ねられた際に,その者の宗教的寛容性の程度に関わりなく,これを完全に否定する態度を堅持し,あるいは巧妙にはぐらかす一方で,プログラム内容について外部の親子や夫婦に話をしないように言葉巧みに指導していたのであるが,これは,勧誘に当たっての欺罔(ぎもう)的手段を弄(ろう)したものといわざるを得ない。…」
【★2】 札幌地方裁判所平成13年6月29日判決(判例タイムズ1121号202頁) 「本件の原告らに対する一連の勧誘活動等を見ると,結局,それらは,原告らの財産の収奪(しゅうだつ)と無償(むしょう)の労役(ろうえき)の享受(きょうじゅ)及(およ)び原告らと同種の被害者となるべき〔メンバー〕の再生産という不当な目的に基づきながら,これを秘匿(ひとく)した上,人の弱みに巧(たく)みにつけ込み,宗教教義とは直接の関連のない不安を煽(あお)り立て畏怖困惑(いふこんわく)させながら,信仰に到達し得る段階までは被告…という宗教団体の教義であることを否定するなどしてこれを明かすことなく,その救いを被告…の教義に求めるように誘導すべく組織的体系的目的的に教育を施(ほどこ)し,その各過程において,入教関係費,各種物品購入費用を出捐(しゅつえん)させ,また,被告…の教義であることを明らかにした後には,上記のような目的を知らない原告らをして,宗教教義の名の下に,さらに同様の費用を出捐させたほか,無償の労役の提供をさせたり,新たな〔メンバー〕獲得のための伝道活動に従事させたものであって,それらは,社会的にみて相当性があると認められる範囲を逸脱(いつだつ)した方法及び手段を駆使(くし)した,原告らの信仰の自由や財産権等を侵害するおそれのある行為というべきであって,いずれの原告に対する関係においても,違法性があると判断すべきものである」
【★3】 竹下節子さんは,「カルト」という言葉を,「ある特殊な人間や考え方を排他的(はいたてき)に信奉(しんぽう)する動き」と定義して,カルトは必ずしも宗教とは限らないこと,カルトのカモフラージュに宗教がよく使われること,宗教カルトの本質は宗教ではなくカルトにあることなど,重要な指摘をしています(竹下節子著「カルトか宗教か」文春新書)。
【★4】 市民的及び政治的権利に関する国際規約(B規約)18条1項 「すべての者は,思想,良心,及び宗教の自由についての権利を有(ゆう)する。…」
 同条2項 「何人(なんぴと)も,自(みずか)ら選択する宗教又は信念を受け入れ又は有する自由を侵害するおそれのある強制を受けない」
【★5】 憲法20条1項 「信教の自由は,何人(なんぴと)に対してもこれを保障する。…」
【★6】 児童の権利に関する条約14条1項 「締約国(ていやくこく)は,思想,良心及び宗教の自由についての児童の権利を尊重する」
【★7】 名古屋高等裁判所昭和46年5月14日判決(津地鎮祭違憲訴訟控訴審判決・民集31巻4号616頁) 「本件で争われている信教の自由,政教分離の原則に関する憲法20条についていうと,『宗教』とは,…同条の立法趣旨及び目的に照らして考えれば,できるだけこれを広く解釈すべきである。そこで,敢(あ)えて定義づければ,憲法でいう宗教とは『超自然的,超人間的本質(すなわち絶対者,造物主,至高(しこう)の存在等,なかんずく神,仏,霊等)の存在を確信し,畏敬(いけい)崇拝(すうはい)する心情と行為』をいい,個人的宗教たると,集団的宗教たると,はたまた発生的に自然的宗教たると,創唱的宗教たるとを問わず,すべてこれを包含(ほうがん)するものと解するを相当とする」
【★8】 1995年(平成7年)2月28日,目黒公証人役場事務長が,オウム真理教から逃げてきた妹を助けていたところ,その事務長がオウム真理教に拉致され,殺害された事件。なお,オウム真理教は,それより前の1989年(平成元年)11月4日,オウム真理教と戦っていた坂本堤弁護士とその家族も殺害していました。
【★9】 1995年(平成7年)3月20日,通勤ラッシュの時間帯に,自分たちを捜査しようとする警察がある霞ヶ関駅で,猛毒の「サリン」を巻き,16人が亡くなり,6000人以上が様々な症状を起こして倒れました。今でも目などに被害を負っている人たちが多くいます。なお,オウム真理教は,その前の年の1994年(平成6年)6月27日にも,反対住民や裁判官を殺そうと長野県松本市でサリンをまき,8人が亡くなっています。
【★10】 オウム真理教は,これらの他にも多数の犯罪を起こしており,代表者は死刑判決を言い渡されました(東京地方裁判所平成16年2月27日判決・判例時報1862号47頁)。また,裁判所はその宗教法人を解散する決定を言い渡しています(東京地方裁判所平成7年10月30日決定,東京高等裁判所平成7年12月19日決定,最高裁判所第一小法廷平成8年1月30日決定・民集50巻1号199頁)。
【★11】 日弁連は,1999年(平成11年)3月26日,「反社会的な宗教的活動にかかわる消費者被害等の救済の指針」という意見書を公表し,宗教的活動にかかわる人権侵害の判断基準を公表しています(http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/opinion/year/1999/1999_13.html)。
「1 献金等勧誘活動について
 (1) 献金等の勧誘にあたって,次の行為によって本人の自由意思を侵害していないか。
  ① 先祖の因縁(いんねん)やたたり,あるいは病気・健康の不安を極度にあおって精神的混乱をもたらす。
  ② 本人の意思に反して長時間にわたって勧誘する。
  ③ 多人数により又は閉鎖(へいさ)された場所で強く勧誘する。
  ④ 相当の考慮期間を認めず,即断即決(そくだんそっけつ)を求める。
 (2) 説得・勧誘の結果献金等した場合,献金後間もない期間(例えば1ヶ月)はその返金の要請に誠意をもって応じているか。
 (3) 一生を左右するような献金などをしてその団体の施設内で生活してきた者がその宗教団体等から離脱(りだつ)する場合においては,その団体は献金などをした者からの返金要請にできる限り誠実に応じているか。
 (4) 一定額以上の献金者に対しては,その宗教団体等の財政報告をして,使途(しと)について報告しているか。
 (5) お布施(ふせ),献金,祈祷料(きとうりょう)等名目の如何(いかん)を問わず,支払額が一定金額以上の場合には受取を証する書面を交付しているか。
2 信者の勧誘について
 (1) 勧誘にあたって,宗教団体等の名称,基本的な教義,信者としての基本的任務(特に献金等や実践活動等)を明らかにしているか。
 (2) 本人の自由意思を侵害する態様で不安感を極度にあおって,信者になるよう長時間勧めたり,宗教的活動を強いて行なわせることがないか。
3 信者及び職員の処遇
 (1) 献身や出家など施設に泊まり込む信者・職員について
  ① 本人と外部の親族や友人,知人との面会,電話,郵便による連絡は保障されているか。
  ② 宗教団体等の施設から離れることを希望する者の意思は最大限尊重されるべきであるが,これを妨(さまた)げていないか。
  ③ 信者が健康を害した場合,宗教団体等は事由の如何にかかわらず,外部の親族に速やかに連絡をとっているか。
 (2) 宗教団体やその関連の団体・企業などで働く者については,労働基準法や社会保険等の諸法規が遵守(じゅんしゅ)されているか。
4 未成年者,子どもへの配慮
 (1) 宗教団体等は,親権者・法定保護者が反対している場合には,未成年者を長期間施設で共同生活させるような入信を差し控(ひか)えているか。
 (2) 親権者・法定保護者が,未成年者本人の意思に反して宗教団体等の施設内の共同生活を強制することはないか。
 (3) 子どもが宗教団体等の施設内で共同生活する場合,親権者およびその宗教団体等は,学校教育法上の小中学校で教育を受けさせているか。また,高等教育への就学の機会を妨げていないか。
 (4) 宗教団体等の施設内では,食事,衛生環境について我が国の標準的な水準を確保し,本人にとって到達可能な最高水準の身体及び精神の健康を確保するよう配慮されているか。」
【★12】 「Q&A 宗教トラブル110番 第3版」(山口広,滝本太郎,紀藤正樹著)121頁でも,「勧誘段階では集団の名前を明示し,教義も要約して説明して入会させる集団,一見,破壊的カルトとは思えない集団もあるでしょう。しかし,軽い感覚で入会させた後に,時間をかけてマインド・コントロールしていくのです。家族や他の社会から切り離させ,他の情報を入れることを禁止させ,週に何度も講義を受けなければ地獄に落ちるなどと説明し,集まれば反論も質問も許されなかったり後回しにされ,多くの人の前で自分の悩みを告白させたり,熱狂的な雰囲気を演出するという手法なのです。破壊的カルトか否か,マインド・コントロールされているか否かも,ゼロか100かで議論することはやめたいところです」と述べられています。
【★13】 児童の権利に関する条約14条2項 「締約国は,児童が1の権利を行使するに当たり,父母及び場合により法定保護者が児童に対しその発達しつつある能力に適合する方法で指示を与える権利及び義務を尊重する」
【★14】 民法820条 「親権を行う者は,子の利益のために子の監護及び教育する権利を有し,義務を負う」
 宗教に名を借りた悪徳商法であれば財産管理権(民法824条),出家を求めるようなカルトであれば居所指定権(民法821条)の問題になります。
 民法824条 「親権を行う者は,子の財産を管理し,かつ,その財産に関する法律行為についてその子を代表する。…」
 民法821条 「子は,親権を行う者が指定した場所に,その居所を定めなければならない」
【★15】 19歳の子どもが自分で宗教に入り,家を出てしまったケースで,親が連れ戻したところ,宗教側が人身保護請求という裁判所の手続で子どもを取り返そうとしましたが,裁判所は,親権の濫用(らんよう)はない,として,宗教側の主張を認めなかった(=子どもを宗教のところに戻させず,親が子どもを自宅にいさせることを認めた)という事例があります(徳島地方裁判所昭和58年12月12日判決・判例時報1110号120頁)。
【★16】 ジャーナリストの池上彰さんが書いた「池上彰の宗教がわかれば世界が見える」という本(文春新書)は,仏教,キリスト教,神道,イスラム教の関係者や,宗教学者や解剖学者との対談の形で,宗教をわかりやすく説明しています。

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