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2013年7月

2013年7月 1日 (月)

親が裁判所で離婚の話し合いをしている【マンガ】

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ブログ記事「親が裁判所で離婚の話し合いをしている」

 

 

親が裁判所で離婚の話し合いをしている

 

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 親が裁判所で離婚の話し合いをしているみたいです。でも,どんな話がされてるのか,父も母もちゃんと話してくれないのでわかりません。裁判所から自分に教えてもらうことはできないんですか?それに,できれば離婚してほしくないし,もし離婚することになるとしても,自分がどっちの親についていくかとか,別れるほうの親と今後どうするのかとか,そういう自分の考えは,誰にも聞いてもらえないんですか?

 

 法律が新しく変わって,今年(平成25年)1月から,子どもも,裁判所での離婚の話し合いの手続きに加わることができるようになりました。

 さらに,子どもに,どちらの親の立場でもない,子ども独自の立場の弁護士をつけることもできるようになりました。

 手続きに加わることで,裁判所でいまどんな話し合いがされているかを知ることができます。

 そして,自分の考えを,弁護士といっしょに整理して,裁判所と両親に伝えることができます。



 親が裁判所で離婚の話し合いをしているのは,悲しいこと,さみしいことですよね。

 親の離婚は,あなた自身の人生にとても影響(えいきょう)があることです。

 それなのに,どんな話し合いになっているのか教えてもらえず,自分の意見も聞いてもらえないのは,おかしなことです。

 「子どもなんだから大人の決めたことにだまってしたがっていなさい」と言う人もいるかもしれません。

 でも,「親の離婚」という重大な場面でそんなことを言うのは,まったくまちがっています。

 離婚についてどんな話が進んでいるのか,あなたも知ることが必要ですし,

 あなたの意見を大人たちに聞いてもらうことも大切です。



 裁判所での話し合いを,「調停(ちょうてい)」と言います。

 調停は,1ヶ月~1ヶ月半に1回くらいのペースでします。

 お父さんとお母さんが,それぞれ,自分の言い分を,裁判所の調停委員(ちょうていいいん)や調査官(ちょうさかん)に伝えて,話し合いを進めていきます。

 調停は,数回で終わることもあれば,話し合いがなかなかまとまらなければ,2年近く続くこともあります。


 調停では,離婚についていろんなことが話し合われています。

 離婚するのかしないのか,ということから話し合われているときもありますし,

 おたがい離婚することじたいは納得していて,離婚の条件がおりあわずに話し合われているときもあります。



 離婚の条件として,

 子どもをどちらの親が育てていくか
【★1】【★4】

 離れるほうの親が,子どもを育てるためのお金を毎月いくらずつ払っていくか
【★2】【★4】

 離れるほうの親に,子どもがこれからどんな付き合いかたをしていくか
【★3】【★4】

 そういうことについても話し合われます。



 調停の話し合いの中で,子どもの意見が聞かれることは,いままでもありました。

 家庭裁判所の調査官という人が,子どもの意見を聞くのです。

 でも,裁判所が「必要だ」と思ったときにしか,子どもの意見は聞いてもらえませんでした。

 それに,調査官は,あくまで,裁判所の人,中立(ちゅうりつ)な立場の人です。

 だから,調査官が,子どもの立場に立って,一緒に考えてくれたり,アドバイスをしてくれたり,ということはありません。

 子どもは,親の離婚の話し合いの中のメンバーとして,きちんとあつかってもらえなかったのです。



 でも,今年の1月,子どもたちのために,法律が変わりました。

 子どもも,調停の話し合いに,きちんとしたメンバーとして,加わることができるようになりました
【★5】

 子どものほうから,「調停に自分も参加したい」と言うことができるようになったのです
【★6】


 「そもそも離婚してほしくない」,

 「離婚するとしたら,こっちの親についていきたい」,

 「はなれるほうの親とは,これからこんなふうに付き合っていきたい」,「はなれるほうの親とはもうかかわりたくない」。

 そういうあなたの意見を,お父さん・お母さん・裁判所に言っていくことが,できるようになったのです。



 でも,子どもが裁判所で,自分の意見をきちんと伝えることは,とても難しいことです(大人だって難しいことです)。

 「調停が今どんなふうに進んでいるんだろう」「これからどんなふうに進んでいくんだろう」,

 「自分がこの意見を言ったら,どんなプラスとマイナスがあるんだろう」,

 そんな不安・疑問に答えてくれるアドバイスもほしいと思います。



 新しい法律では,子どもが,自分の味方の弁護士を付けることもできるようになりました【★7】

 お父さん・お母さんのどちらの立場でもない,子どものための弁護士です。

 ぜひ,弁護士に相談してみてください。

(相談先は,「弁護士に相談するには」の記事を見てください。)



 上では,裁判所の調停について,書いてきました。

 しかし,実際は,両親の離婚は,裁判所で話し合わないで,お父さんとお母さんの二人だけで話し合って,決めてしまうことのほうが,とても多いのです
【★8】


 離婚の話し合いが今どうなっているのかを,子どもが知ること。

 子どもの意見を,お父さん・お母さんにきちんと伝え,きちんと聞いてもらうこと。

 そして,子どもも弁護士のサポートを受けられること。

 そういうことは,裁判所の調停のときだけでなく,お父さんとお母さんの二人だけで話し合っているときだって,だいじなことです。

 だから,「離婚の話し合いが裁判所でされていないみたいだから」などとあきらめずに,弁護士に相談してください。



 私は,非行を犯した子どもたちや,虐待を受けてきた子どもたちが,親の離婚で心を深く傷つけられてきたのを,多く見てきています。

 そして,そういう子どもたちと出会うたびに,「親の離婚という,人生でとてもだいじな時に,子どもの気持ちが大切にされていない」ということへの,くやしさや,怒(いか)りを感じています。



 あなたが,きちんと親の離婚の話し合いに加わり,自分の意見を言えること,聞いてもらえること。

 そのことが,あなたの人生にとって,とても大切なことです。

 私は,弁護士として,そう強く思っています
【★9】

 

【★1】子どもを育てていく責任と権限(けんげん)を「親権(しんけん)」と言います。離婚前はお父さん・お母さん二人が親権者ですが,離婚をするとどちらか一人が親権者になります。
【★2】面会交流(めんかいこうりゅう)と言います。どのくらいのペースで会うのか,当面会わないで手紙のやりとりにするのか,などを決めます。
【★3】養育費(よういくひ)と言います。
【★4】民法766条1項「父母が協議上の離婚をするときは,子の監護(かんご)をすべき者,父又は母と子の面会及びその他の交流,子の監護に要(よう)する費用の分担その他の子の監護について必要な事項(じこう)は,その協議で定める。この場合においては,子の利益(りえき)を最(もっと)も優先して考慮しなければならない」
【★5】家事事件手続法252条1項「次の各号(かくごう)に掲(かか)げる調停事件…において,当該(とうがい)各号に定(さだ)める者は,…法定代理人によらずに,自(みずか)ら手続行為(てつづきこうい)をすることができる。…
(略)
 二 子の監護(かんご)に関する処分(しょぶん)の調停事件… 子
(略)
 四 親権者の指定又(また)は変更の調停事件… 子及(およ)びその父母
 五 人事訴訟法(じんじそしょうほう)第2条に規定(きてい)する人事に関する訴(うった)え…を提起(ていき)することができる事項(じこう)についての調停事件 同法第13条1項の規定が適用(てきよう)されることにより訴訟行為(そしょうこうい)をすることができることとなる者」
 離婚調停での子どもは,この1項五号にあたります。
 人事訴訟法2条「この法律において『人事訴訟』とは,次に掲げる訴えその他の身分関係の形成…に係(かか)る訴訟をいう。
 一 …離婚の訴え…
(略)」
 人事訴訟法13条1項「人事訴訟の訴訟手続における訴訟行為については,民法第5条第1項…の規定は,適用しない」
 民法5条1項「未成年者が法律行為をするには,その法定代理人の同意を得なければならない。…」
【★6】家事事件手続法258条1項「第41条から第43条までの規定は家事調停の手続における参加及び排除(はいじょ)について…準用(じゅんよう)する」
 同法42条2項「…審判の結果により直接の影響を受けるもの又は当事者となる資格を有(ゆう)するものは,家庭裁判所の許可を得(え)て,家事審判の手続に参加することができる」
 なお,子どもがいつもかならず調停に参加できるわけではありません。子どもの年齢など,いろんなことを考えて,「子どもが参加しないほうがよい」,と裁判所が考えるときには,子どもが調停に参加できないこともあります。
 同法42条5項「家庭裁判所は,…参加しようとする者が未成年者である場合において,その者の年齢及び発達の程度その他一切(いっさい)の事情を考慮してその者が当該家事審判の手続に参加することがその者の利益(りえき)を害(がい)すると認めるときは,…参加の許可の申立てを却下しなければならない」
【★7】家事事件手続法23条1項「手続行為につき行為能力の制限を受けた者が…第252条第1項の規定により手続行為をしようとする場合において,必要があると認めるときは,裁判長は,申立てにより,弁護士を手続代理人に選任することができる」
 同条2項「手続行為につき行為能力の制限を受けた者が前項の申立てをしない場合においても,裁判長は,弁護士を手続代理人に選任すべき旨を命じ,又は職権(しょっけん)で弁護士を手続代理人に選任することができる」
【★8】協議離婚(きょうぎりこん)と言います。
民法763条「夫婦は,その協議で,離婚をすることができる」
【★9】子どもがきちんと自分の意見を言えることは,「子どもの権利条約」で,日本を含む多くの国が認めている,とてもだいじなことです。
 児童の権利に関する条約(子どもの権利条約)12条1項「締約国(ていやくこく)は,自己(じこ)の意見を形成する能力のある児童がその児童に影響を及(およ)ぼすすべての事項(じこう)について自由に自己の意見を表明する権利を確保する。この場合において,児童の意見は,その児童の年齢及び成熟度(せいじゅくど)に従(したが)って相応(そうおう)に考慮されるものとする」
 同条2項「このため,児童は,特に,自己に影響を及ぼすあらゆる司法上(しほうじょう)及び行政上(ぎょうせいじょう)の手続において,国内法の手続規則に合致(がっち)する方法により直接に又は代理人若(も)しくは適当な団体を通じて聴取(ちょうしゅ)される機会を与えられる」

 

父親が日本人なので日本国籍をとりたい

 

 高校生です。母は外国籍です。でも,父が日本国籍で,私も生まれてからずっと日本で育ってきたし,自分の名前も日本風なので,自分の国籍は日本だと,ずっと思ってました。だけど,最近になって,じつは,両親が結婚していなかったこと,そして,自分の国籍が日本ではなく,本名もいままでずっと使ってきた名前とはちがっていたということを知りました。私が日本国籍になることはできますか。

 

 あなたがお父さんから認知(にんち)されていれば,届出をすることで,日本国籍になることができます。


 自分の国籍や名前がちがっていたと知って,とてもおどろきましたよね。


 自分が一体どんな人間なのか。

 そのことを,難しい言葉で,「アイデンティティ」と言います。

 アイデンティティは,人が人であるために欠かせないものです。

 特に,子どもから大人になるころは,自分がどんな人間なのかを考える,自分さがしをする時期です。

 そして,国籍や名前は,アイデンティティをかたちづくるうえで,大切なものの中の一つです。


 本当のことを知っておどろき,自分のアイデンティティがゆらぐことは,苦しいことだと思います。

 そして,大人から本当のことをきちんと教えてもらえていなかったことに対する,悲しさやさみしさも,きっと感じたのではないかと思います。


 日本の国籍になるのは,お父さんかお母さんが日本国籍であることが,基本的な条件です。


 「お母さんがだれか」ということは,産んだ人がだれかで決まるので,わかりやすいですよね【★1】

 それにくらべて,「お父さんがだれか」ということは,わかりづらいときがあります。

 お父さんとお母さんが結婚しているなら,法律上は,自動的に,「夫が,その子のお父さん」,となります
【★2】

 あなたのお父さんとお母さんは,結婚していないのですよね。

 こういうときには,お父さんが,役所に,「この子は自分の子です」と届出をします。

 これを,「認知(にんち)」と言います
【★3】

 日本国籍を持っている人についての情報は,市役所や区役所が,「戸籍(こせき)」というもので管理しています。

 お父さんの戸籍を取り寄せてみてください。

 お父さんがあなたを「認知」していれば,お父さんの戸籍の情報の中に,そのことが書かれています。


 あなたがお父さんから「認知」されていれば,20歳になる前に法務局に届出をすれば,日本国籍をとることができます【★4】【★5】

 あなたは高校生で,15歳以上ですから,自分で届出をします
【★6】

 14歳以下の子どもであれば,お母さんに代わりに届出をしてもらいます。

 20歳になった後でも日本国籍を取るための手続はありますが,20歳になる前に届出をするほうが確実です
【★7】

 届出が受け付けられれば,日本国民として,あなたの戸籍ができます。

 その戸籍に,あなたがいままで使っていた名前を載せてもらうことで,これからはその名前をあなたの「本名」として使っていくことができます。


 「認知」されていなければ,お父さんに,「認知」をするよう話をしてください。

 お父さんが応じてくれなければ,裁判所でお父さんと話し合います(「調停(ちょうてい)」と言います)。

 それでもお父さんが応じてくれなければ,裁判をして判決を出してもらいます(「認知の訴え」と言います)
【★8】

 そして,「認知」されたうえで,上に書いた届出の手続をします。


 国籍が日本かどうかは,

 選挙権があるか,

 どこの国のパスポートを使うのか,

 就職のときに公務員になれるか,

 これからやがて出会う人と家族になるときに,家族内の問題にどこの国の法律があてはまることになるか,など,

 人生のいろんなところにかかわってくる,法律的にとてもだいじなことです。


 いままで自分のことをきちんと大人から教えてもらえていなかったことを知って,つらかったと思います。

 これからのあなたの人生は
,ぜひ,あなた自身で切り開いていってください。

 

【★1】母と子の関係は,認知は必要なく,「分娩(ぶんべん)の事実」,つまり出産したということで,当然に認められる,とされています(最高裁昭和37年4月27日判決・民集16巻7号1247頁)。
【★2】民法772条1項「妻が婚姻(こんいん)中に懐胎(かいたい)した子は,夫の子と推定(すいてい)する」
【★3】民法779条「嫡出(ちゃくしゅつ)でない子は,その父…がこれを認知することができる」
 「嫡出」というのは,法律的に結婚している男女の間の子ども,という意味です。
【★4】国籍法2条「子は,次の場合には,日本国民とする。
 一 出生の時に父又は母が日本国民であるとき。…」
 国籍法3条1項「父又は母が認知した子で20歳未満のものは,認知をした父又は母が子の出生の時に日本国民であった場合において,その父又は母が現に日本国民であるとき,又はその死亡の時に日本国民であったときは,法務大臣に届け出ることによって,日本の国籍を取得することができる」
【★5】じつは,つい最近まで,お父さんとお母さんが結婚しなければ日本国籍はとれない,認知だけでは日本国籍がとれない,ということになっていました。でも,最近では,法律的に結婚していない,いろんな家族の形が増えてきています。両親が結婚しているからその子が日本との結びつきが強くて,両親が結婚していないからその子が日本との結びつきが弱い,などというのは,もう現在では通用しない考え方です。最高裁判所は,そのような考え方に立って,以前の法律が「法の下(もと)の平等」を定(さだ)めている憲法にてらしてまちがっている,とする違憲判決(いけんはんけつ)を出しました(最高裁大法廷平成20年6月4日判決・民集62巻6号1367頁)。この判決をふまえて平成21年から新しくなった法律が,記事の本文で説明したものです。
 憲法14条1項「すべて国民は,法の下に平等であって,人種,信条(しんじょう),性別,社会的身分又は門地(もんち)により,政治的,経済的又は社会的関係において,差別されない」
【★6】戸籍法18条「第3条第1項…による国籍取得の届出…は,国籍の取得…をしようとする者が15歳未満のときは,法定代理人が代わってする」
【★7】20歳を超えると,「帰化(きか)」という手続になり,帰化は法務大臣が「許可することができる」,つまり,「許可しないこともできる」ということにもなるので,20歳になる前に届出をしたほうがよいのです(国籍法8条)。
【★8】民法787条「子…は,認知の訴えを提起(ていき)することができる」
 もしお父さんが亡くなっている場合は,3年以内に,検察官を相手に,認知の訴えをおこす必要があります。
 民法787条但書「ただし,父…の死亡の日から3年を経過したときは,この限りではない」
 人事訴訟法42条1項「認知の訴えにおいては…その者が死亡した後は,検察官を被告とする」

 

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