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2013年4月 1日 (月)

たばことお酒はなんでダメなの?


 子どもがたばこを吸ったりお酒を飲んだりしてはダメって法律で決まっているのは知ってるけど,どうして大人はよくて子どもはダメなんですか。
 吸ったり飲んだりしたら,法律ではどうなりますか。

 

 子どもは,たばこを吸ったり,お酒を飲んだりしてはダメ【★1】

 耳にタコができるほど聞いていますよね。


 人は,他の人に迷惑(めいわく)をかけない限り,好きなことをしていいという自由があります。

 だから,たばこもお酒も,ほんらいは自由です。

 でも,大人でも,たばこやお酒で他の人に迷惑をかける場合には,法律で制限(せいげん)されます
【★2】


 「だったら,未成年だって,他の人に迷惑をかけなければ,吸ったり飲んだりしてもいいじゃん。誰にも迷惑かけてないでしょ?なんでダメなの?」



 それは,
あなたに自分自身を大切にしてほしいからです。


 知っているとおり,たばこもお酒も,健康によくありません。




 「人は,ほんらい自由です」,と言いました。

 でも,健康に悪いことを「自由」にやり続けた結果,何十年も後になって苦しんでいる大人が,とても多いのです。

 突然死んでしまう危険も高いし,ずっと苦しみ続けることだってある。

 たばこやお酒をやめるようにお医者さんに注意されても,なかなかやめられなくて苦しんでいる大人が,たくさんいます。

 健康に悪いという統計・データや,真っ黒になった肺(はい)の写真などを見せられるよりも,実際の大人たちの話を聞くほうが,その大変さをきちんと感じることができます。

 だけど,
子どもは,そういう大人たちの話を聞く機会が,なかなかありません。

 大人のほうも,プライドやはずかしさから,自分たちの話をきちんと子どもたちにしようとしません。


 大人だったら,「自由」の結果苦しんでも,それはそれで「自己責任」,自分でやったことなんだから仕方がない,ということかもしれません。


 だけれど,子どものみなさんにまで,そんな「自己責任」をおってもらいたくないのです。

 私たち大人は,子どものみなさんのことを,大切に思っています。

 子どものみなさんが,大人になるまでの間,そして大人になったあとも,健康で幸せなくらしを送れるように,と願っています。

 ひとの体は,大人になるまで,成長を続けています。

 身長が伸びるのは高校生くらいで止まりますが,その後も,体の中ではまだまだ成長を続けています。

 すくなくとも,そのように体が成長している間は,たばことお酒の悪い影響(えいきょう)を受けてほしくないのです。

 成長を続けている自分自身を,大切にしてほしいのです。


 体が成長する間に悪い影響を受けて,遠い先につらい思いをするのは,あなた自身だけではありません。

 あなたのまわりには,今も,そしてこれからも,ずっとあなたのことを大切に思ってくれる人たちがいます。

 そして,これからやがて最愛の人とも出会うでしょうし,大切な家族もできるでしょう。

 子どものころからのたばことお酒の影響で,あなた自身が苦しめば,そんな人たちをも悲しませます。




 「人に迷惑をかけないんだから,吸ったり飲んだりしてもいい」。

 そんな子どもの言葉を聞くと,「自分のことを大切に思えないような,さみしい毎日を過ごしているのかな」と,心配します。

 「たばこやお酒に害があるから」,「ルールだから」,という大人の一方的な説教も,時には必要かもしれません。

 でもそれよりも,たばこやお酒の話をひとつのきっかけとして,「自分自身のことを大切に思えているかどうか」を,いろんな人とじっくり話し合うことのほうが,もっと大切だと思っています。




 みなさんも知っているとおり,子どもがたばこを吸ったりお酒を飲んだりすることは,法律で禁止されています。

 でも,その子どもに,「刑務所に行きなさい」とか,「罰金(ばっきん)を払いなさい」という刑罰(けいばつ)がくだされることはありません。

 そのような処罰(しょばつ)がされるのは,止めなかった親や,子どもであることを知っていたのにたばこやお酒を売った大人のほうです
【★3】

 法律のしくみがそうなっているのも,「私たち大人が子どもたちを大切にしないといけない」という考え方のあらわれです。




 でも,吸ったり飲んだりした子どもがなにも処分(しょぶん)を受けないかというと,ちがいます。

 「補導(ほどう)」されるということは聞いたことがあると思います。

 警察から注意を受け,場合によっては親や学校,職場に連絡がいきます。

 この「補導」は,法律(国会で決めたルール)や条例(都道府県や市区町村で決めたルール)ではなく,警察の内部で決めたやりかたです
【★4】

 「補導」がなんどもくりかえされるような子どもだと,なんの犯罪もしていなくても,「将来犯罪を起こすかもしれない」という理由で,裁判所に呼び出されて注意を受けたり,場合によっては「少年院に行って自分自身を見つめなおしてきなさい」と言われることさえあります
【★5】

 また,学校のルールでは,たばこやお酒に手を出したときの,学校としての罰(ばつ)が決まっていることがほとんどです。

 この,学校としての罰のことを,懲戒処分(ちょうかいしょぶん)といいます。

 出席停止の処分を受けたり,私立学校や高校だと退学処分を受けたりすることだってあります。




 たばこが吸えたり,お酒が飲めたりすると,なんとなく大人になった気分がして「かっこいい」と思うかもしれません。

 でも,大人どうしの世界では,正直なところ,そんなイメージはありません。

 人としての「かっこよさ」は,たばこやお酒のような「物」で身につけるものではなく,もっとちがうところで見られるものです。

 自分自身を大切にできる人,まわりからたばこやお酒をすすめられても,「いやなものはいやです」ときっぱり断れる人こそ,「かっこいい」と私は思います。

 

 

【★1】 未成年者喫煙禁止法1条「満20年に至(いた)らざる者は煙草を喫することを得ず」,未成年者飲酒禁止法1条「満20年に至(いた)らざる者は酒類を飲用することを得ず」
【★2】 平成15年から,健康増進法という法律で,他の人がたばこの煙(けむり)を受けないようにしましょうとされています。平成16年からは,航空法という法律が変わり,飛行機の中でたばこを吸うと,場合によっては処罰されることになりました。お酒についても,飲酒運転は昔から犯罪ですし,最近ではその刑罰がとても重くなっています。また,若い学生さんたちが友達にイッキ飲みをむりやりさせて,急性アルコール中毒で亡くなってしまうという事件も多くありますが,強要罪(きょうようざい)という犯罪になります。
【★3】 たばこやお酒を止めなかった親には「科料」という罰金に似た(罰金よりも安い)刑罰,子どもにたばこやお酒を売った人には50万円以下の罰金が科せられます(未成年者喫煙禁止法3条1項,5条,未成年者飲酒禁止法3条,1条2項・3項)。
【★4】 少年警察活動規則2条「この規則において,次の各号に掲げる用語の意義は,それぞれ当該各号に定めるところによる。…六  不良行為少年 非行少年には該当しないが,飲酒,喫煙,深夜はいかいその他自己又は他人の徳性を害する行為…をしている少年をいう」
 少年警察活動規則14条「不良行為少年を発見したときは,当該不良行為についての注意,その後の非行を防止するための助言又は指導その他の補導を行い,必要に応じ,保護者(学校又は職場の関係者に連絡することが特に必要であると認めるときは,保護者及び当該関係者)に連絡するものとする」
【★5】 「ぐ犯(ぐはん)」といいます。
少年法3条「次に掲げる少年は,これを家庭裁判所の審判に付する。…
3.次に掲げる事由があって,その性格又は環境に照して,将来,罪を犯し,又は刑罰法令に触れる行為をする虞のある少年
 イ 保護者の正当な監督に服しない性癖のあること
 ロ 正当の理由がなく家屋に寄り附かないこと
 ハ 犯罪性のある人若しくは不道徳な人と交際し,又はいかがわしい場所に出入すること
 ニ 自己又は他人の徳性を害する行為をする性癖のあること」

 

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