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2013年3月20日 (水)

親の虐待から逃げてきて家に帰れない

 小さいころからずっと,親から,なぐられたり,けられたりしてきました。これ以上がまんできず,家を飛び出てきてしまいました。もう家には帰れないし,帰りたくないけれど,夜泊まるところのあてもありません。どうすればいいですか。

 いままでずっとがまんをつづけてきたんですね。

 自分のことを大切にしてくれるはずの親に,大切にされず,

 安心して暮らすことのできるはずの家で,安心できず,

 とてもつらくて悲しい,そして,さみしい思いをしてきたと思います。

 暴力で受けたからだの痛みは,しばらくするとなくなりますが,

 こころの痛みはずっとつづきますよね。

 たんなる家出ではなく,「もう家に帰りたくない」という気持ちにまでなるのは,よっぽどのことだったと思います。

 おじいちゃんやおばあちゃん,おじさんやおばさんなど,親戚(しんせき)の家に頼れれば良いのですが,それも難しいのですね。


 このようなとき,
あなたがまだ18歳になっていなければ,児童相談所というところであなたを守ってもらうことができます

 法律の言葉では,「一時保護(いちじほご)」といいます
【★1】

 自分から児童相談所に直接連絡してもいいです。

 全国共通の電話番号は 0570-064-000 です。

 自分から連絡しづらい人は,学校や塾の先生,近所の人など,あなたが信頼できる大人に話して,その人から児童相談所に連絡してもらってもかまいません。

 夕方や夜なら,警察に行って,警察官から児童相談所に連絡してもらうという方法もあります。

 保護してもらうときには,「たんなる家出ではなく,家に帰りたくない,帰れないんだ」ということを,きちんと,そして強く説明しましょう。

 そうでないと,大人からは,「よくある親子げんか」とまちがえられて,あなたが家に帰されてしまうこともあります。


 一時保護をされると,「一時保護所」という施設で,あなたの安全が守られます。

 ただ,一時保護所にはいろんな子どもたちがいるし,学校に行ったり友だちと連絡したりすることもできません。

 すぐに安全を守るためにはしかたのないことなのですが,きゅうくつに感じると思います。

 一時保護所で暮らす期間は,早ければ数日~数週間,ふつうは1~2ヶ月くらい,長いとそれ以上かかることもあります。

 その間に,児童相談所の人が,あなたの気持ちを聞いたり,親と話をしたりして,家にもどることができないかどうかを調整します。

 「やっぱり家に帰れない」「家に返せない」という場合には,あなたがこれから生活する場所を児童相談所が探してくれます。

 学校に通っている子どもならば,「児童養護施設(じどうようごしせつ)」という施設があります。

 最近では,施設ではなくて,ふつうの家庭の中でくらす,「養育家庭(よういくかてい)」も増えました
【★2】

 アルバイトなどをして自立することを目指す子どもには,「自立援助(じりつえんじょ)ホーム」という施設もあります
【★3】

 児童相談所の人の言われたとおりに従(したが)わないといけない,ということではありません。

 あなた自身の人生なのですから,「どこで生活したいか」というあなたの気持ちや考えを,児童相談所の人にきちんと伝え,聞いてもらうことが大切です。


 一時保護について話しましたが,実は,今,一時保護所はどこもいっぱいです。

 小さな子どもを優先して保護しなければならないので,10代の子を保護しようにも,「満員で空きがない」と言われてしまうかもしれません。

 また,そもそも,18歳以上だと,児童相談所が一時保護することはできないのです。


 そんな,一時保護が難しいけれども家に帰れないという子どもたちのために,弁護士が中心になって,緊急避難(きんきゅうひなん)施設を作りました。

 子どものための「シェルター」です。

 見た目はふつうの一軒家(いっけんや)ですが,どこにあるのかは絶対に秘密なので,あなたの安全は守られます。

 子どもには,担当の弁護士が1人ずつ付きます。

 これまでのことや,今のこと,これからのことについて,弁護士があなたと一緒に考えます。

 そして,親,学校,職場,児童相談所,警察…いろんな大人たちと話し合うときにも,弁護士が力になります。


 2004年に,先輩の弁護士たちが,東京に「カリヨン子どもの家」というシェルターを初めて作りました。

 その取り組みが全国にひろがって,今は,名古屋,横浜,岡山,京都,福岡,広島にもできています。

 近いうちに,札幌でもできる予定です。

 くわしく知りたい人は,下のウェブサイトを見てみてください。


 東京のシェルターについて相談したいときには,東京弁護士会の「子どもの人権110番」に電話をしてください。

 電話番号は, 03-3503-0110 です。

東 京 : カリヨン子どもセンター(http://www.h7.dion.ne.jp/~carillon/
名古屋 : 子どもセンターパオ(
http://www.pao.or.jp/
横 浜 : 子どもセンターてんぽ(
http://www.tempo-kanagawa.org/
岡 山 : 子どもシェルターモモ(
http://shelter-momo.org/top.html
京 都 : 子どもセンターののさん(
http://www.nonosan.org/
福 岡 : そだちの樹(
http://sodachinoki.org/
広 島 : ピピオ子どもセンター(
http://pipio.or.jp/
札 幌 : 子どもシェルターレラピリカ(
http://rerapirka.blogspot.jp/) ※準備中

【★1】 児童福祉法33条1項 児童相談所長は,必要があると認めるときは,第26条第1項の措置をとるに至るまで,児童に一時保護を加え,又は適当な者に委託して,一時
同条2項 都道府県知事は,必要があると認めるときは、第27条第1項又は第2項の措置をとるに至るまで,児童相談所長をして,児童に一時保護を加えさせ,又は適当な者に,一時保護を加えることを委託させることができる。
同条3項  前2項の規定による一時保護の期間は,当該一時保護を開始した日から2月を超えてはならない。
同条4項  前項の規定にかかわらず,児童相談所長又は都道府県知事は,必要があると認めるときは,引き続き第1項又は第2項の規定による一時保護を行うことができる。
【★2】 「里親(さとおや)」というと分かりやすいかもしれません。ただ,むかしの「里親」は,「養子縁組(ようしえんぐみ)」をして,法律的にも親子になることがほとんどでしたが,「養育家庭」は,養子縁組をしないで(つまり,法律的な親子にはならないで),普通の家庭のようにくらすものです。
【★3】 いきなり子どもがひとりぐらしをするのはとても大変です。自立援助ホームでは,仕事の探し方,仕事のやり方,生活のしかたを,自立するまでの間学ぶことができます。月3万円程度を施設に払い,残りは貯金とお小遣いにまわして,1年ほどでアパートを借りられるほどのお金がたまったら自立する,という施設です。

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